寒い冬場は外に出るのもおっくうになる季節で、畑や庭の管理もサボり気味になりますね。私も畑を管理していたときには、冬はほとんど家にこもっていました(笑)
寒い冬になると、雑草も夏ほど草ボーボーにはなりませんが、すべての雑草が生えなくなるわけではないのです。
よく見ると、小さな雑草が枯れないまま生えているんです。
冬でも枯れない雑草は、春に花を咲かせる雑草たちが多いです。冬生一年草のカラスノエンドウ、ナズナ、多年草のタンポポやギシギシが代表例です。
また、冬に枯れたとしても「多年草」は土の中で根っこを張って生き延びて、春夏にはまた元気にたくさん生えてきてしまうのです。
今回は、冬でも枯れない雑草の秘密や、冬に行うべき雑草対策を解説していきます。
冬でも枯れない雑草は冬生一年草と冬を越す多年草
雑草には、発芽してから1年以内で枯れる「一年草(一年生雑草)」、2年以上生き延びる「多年草(多年生雑草)」の2種類があります。
冬でも枯れない雑草は、春に花を咲かせるものが多いです。種類でいえば、秋に発芽して成長する「冬生一年草」や、枯れないまま冬を越す「多年草」なのです。
まずは、「冬生一年草」の種類から、秋に芽を出してそのまま冬でも枯れない雑草を紹介します。
「一年草」は、花を咲かせたら種などを落として子孫を残します。雑草自体は1年以内に弱って枯れますが、翌年には新しい種から再び芽を出します。
一年草にも、春に発芽して寒い時期に枯れる「夏生(かせい)」、秋に発芽して暖かい時期に枯れる「冬生(とうせい)」があるのです。
そのため、冬でも枯れないのは「冬生一年草(越年草)」です。
この中には、春に花を咲かせる「カラスノエンドウ」「ヒメジョオン」「ナズナ」もいます。
特に「カラスノエンドウ」は5月以降にはツルだらけになる雑草だと思っていたので、「冬生一年草」とは意外でした。でも、夏には種を落として枯れていくので、なんだか納得です。
次に「多年草」ですが、その中でも、枯れないまま冬を越す雑草を紹介します。
多年草の根っこは生命力が強いため、2年以上生き延びます。根っこがガンコで厄介なため、根絶やしにすることが難しいです。
大きく分けて、地下深くまっすぐ根っこを伸ばして種で増えるタイプ、土の中に「地下茎」という根っこを伸ばして横にどんどん増えるタイプがいます。
枯れないまま冬を越す多年草の場合、地下茎タイプは「セイタカアワダチソウ」くらいです。その他は冬になると枯れるのですが、これに関しては、後ほど詳しく解説します。
そして「タンポポ」「ギシギシ」は地下深く根っこを伸ばすタイプ、「カタバミ」はちょっと珍しい球根で増えるタイプです。
寒い冬は雑草も生えてこないイメージですが、中には地上に芽を出したまま生き残る雑草たちもいるのですね。
ロゼット状で体力温存しながら冬を乗り越える
秋に発芽する「冬生一年草」と冬を越す「多年草」、どちらにも共通して言えるのは「ロゼット状」で冬を越している、春に花を咲かせる、ということです。
「ロゼット状」とは、茎をのばさずに、葉っぱで地面を覆うように広げた状態のことをいいます。「放射線状に広げた状態」という人もいますね。
秋や冬のうちに芽を出しておいてロゼット状で冬を越すことで、体力を温存させながら栄養を蓄えてることができます。
そして2~3月になると、一気に急成長を遂げて、キレイな花を咲かせたり、種を作って子孫を残したりできるのです。
先ほど紹介した雑草の種類の中に、3月ごろに黄色いお花を咲かせる「タンポポ」もありましたよね。
私も暖かくなったころにタンポポを見かけると、春の訪れを感じます。
きっとこのタンポポたちも、冬の間は小さくなっていて、春が来るのをじっと待っているのですね。
冬に枯れる雑草も土の中で生きている
暑い夏でも元気だった雑草たちも、寒い冬になると元気がなくなり枯れていきます。
しかし多年草の根っこは、冬の間には土の中でひっそりと眠っています。そして春になると目を覚まして一気に成長していき、どんどん草ボーボーになっていくのです。
先ほど私は、多年草には地下茎で増えるタイプと地中深く根っこを伸ばすタイプがいるとお話ししましたよね。
地下茎で増えるタイプは、地下に茎を張り巡らせ、そこから芽を出していきます。この地下茎は、細かく切られたとしてもカケラから発芽します。
代表的な雑草は「セイタカアワダチソウ」、そして「スギナ」「ヨモギ」「ドクダミ」「チガヤ」などです。
この中でも、一番厄介なのが「スギナ」です。地下茎で増えていく多年草の中でも、取り除くのが一番難しいのです。
私も草むしりを1年中やっていましたが、セイタカアワダチソウやヨモギの地下茎は手で取れるのに、スギナの地下茎はなかなか見つけられないんです。なぜだ…。
また、枯れないまま冬を越す雑草「タンポポ」「ギシギシ」は根っこを地下深くまで伸ばすタイプです。しかし、これも根っこを完全に取り除いていかないと、また生えてきます。
このタイプも、また根っこを取り除くのが大変です。
タンポポの根っこはゴボウのように深く長く伸びていて、引き抜こうとしたら途中で折れます。
そしてギシギシの大きな根っこは、地下だけでなく横にも張っています。
小さな株ならまだ簡単に取れますが、大きく成長してしまったギシギシの株は地中に絡みついているため、シャベルを使って周りの土を掘り起こして引き抜かなければならないのです。
そういえば、学生時代にグラウンドの草むしりをしてもまた同じところから生えて、困っていました。
土の中に地下茎や大きな根っこが残っていたから、地上の草を刈っても刈っても生えてきていたのですね。
たとえ冬に地上部が枯れて安心していても、地中に根っこが生きていれば油断は禁物なのです。
冬の雑草対策なら、草むしり、除草剤、防草シート
春や夏にお庭が草ボーボーとならないためには、生えている雑草が少ない冬の時期に対策しておくのが手っ取り早いです。
冬にやるべき雑草対策は、草むしり、除草剤、防草シートの3つです。
まず草むしりをするとき、基本的には鎌と手のダブル使いで根っこを抜いていきます。鎌で周りを掘りながら、手で根っこを丁寧に抜きましょう。
特に多年生の雑草は背が高い種類が多いため、土の中に眠っている根っこをしっかり取り除きます。
ただし、草むしりでは取り除けないような小さな種やガンコな雑草は、除草剤をまいて対策します。
そして、敷くだけで雑草が生えてくるのを長期間抑えられる「防草シート」を敷きます。
植物が少ない時期に防草シートを敷いておけば、新しい種や取り除けなかった根っこに日光が当たりにくくなります。すると、雑草が芽を出しにくくなるのです。
防草シートを敷くときには、シートと地面が隙間なくピタリとくっついているのが理想です。もし難しければ、シートの上に砂利を敷くと重みができるため、隙間を埋められますよ。
ちなみに黒い防草シートの上に砂利を敷いていると、「シートをかぶせている感」がなくなり、見た目もよくなります。
そういえば、私も大学で農家さんとさまざまな野菜を育てていた時、秋には農家さんが防草シートを準備していました。「そういえば雑草対策の話をしていた!」と、改めて思い出しました。
野菜に与えるはずの栄養分を雑草に取られないように、秋冬の間は雑草対策も同時に行なっていたのですね。
雑草対策が冬に向いている理由4点
冬こそが雑草対策に最適なんです♪その理由は大きく4点あります。
- 地上部分が枯れている雑草もあり、雑草がすぐ見つかる
- 雑草が小さめで弱っているため、根っこから抜きやすい
- 雑草の成長がゆっくりなので、少しの作業でも効果的
- 虫が少ないので暖かい時期よりも虫刺されに悩まない
これらは冬だからこそ、他の植物が枯れているためのメリットですね。
なんとなく想像できる理由だったかもしれませんが、雑草がおとなしい寒い冬の時期に作業を行なっておけば、春以降の雑草処理が少しでも楽になります。
雑草が生い茂る中、暑くて虫が多い季節に雑草処理なんて続かないですよね。
私も農作業のボランティアをした際に、暑い季節に作業する大変さを経験しましたが、涼しい季節の作業は短時間でも作業が進んでとても効率的でした。
雑草対策するなら寒い時期に進めちゃいましょう!
いつの間にか雑草が生える原因は…自然の力
いつの間にかっこんな雑草が生えてる!
種なんて蒔いた覚えもないのに、どうして?
こればかりは、風や生き物によって種が飛んできて、雨が降って成長していくため、「自然の摂理」としか言いようがありません。
一年草や多年草の種は、たんぽぽの種みたいに風に吹かれて飛んでくる場合や、鳥が食べたものの中に種が紛れていて、そのままフンと混ざって地上に落ちる場合などが多いです。
このように、自然の力で約5万粒もの大量の種が、あらゆる場所にまかれているのです。
一度種を落とされてしまうと、その場に応じた生命力で冬を乗り越えます。
そして、水、土、ホコリがある場所に雑草の種が落ちると、雨(水)を吸って成長します。
一度芽を出してすくすく成長していくと、大きくなったころには雑草を取り除くのに一苦労してしまいます。
だからこそ、雑草の成長がゆっくりな秋冬のうちに対策をしておけば後が楽になるのですね。
まとめ
- 雑草には「一年草」と「多年草」があり、一年中枯れないで冬にも残ることがある
- 冬でも枯れない雑草の種類は、「冬生一年草」か「多年草」のどちらか
- 「冬生一年草」には、カラスノエンドウ、ナズナ、ホトケノザ、ヤエムグラ、ヒメジョオンがある
- 冬でも枯れない「多年草」には、タンポポ、ギシギシ、セイタカアワダチソウ、カタバミがある
- 冬でも枯れない雑草たちは、茎をのばさずに葉っぱを地面に広げた状態「ロゼット状」で生き延びている
- 冬に芽を出さない「多年草」は一見枯れているようにもみえるが、実は土の中で根っこを張り巡らせて生きている
- 冬に行う雑草対策は、草むしりをした後に除草剤を撒き、防草シートをかぶせておく
- 雑草対策には雑草の成長がゆっくりな冬に行うのが理想
冬は雑草が伸びにくいため、草むしりもサボりがちです。
しかし「なんにもしなくていい。」というわけではなく、雑草が少ないうちに対策をしておくだけで次の春夏には庭の手入れがグンと楽になるのです。
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