「優しい」と「親切」は、どちらも意味が似ていて結局どう使っていいかわからず悩んでしまいますよね。
私もこの2つの言葉について調べるまでは、違いは分かっても使い分け方が分からずモヤモヤしていました。
コミュニケーションする中で間違った言葉遣いをしてしまっていたらと思うと、顔から火が出るほど恥ずかしいものです。
実は「優しい」と「親切」の違いは主体性の有無で、具体的にいうと「相手のためにどの程度行動を起こしているか」にあります。
今回の記事では「優しい」と「親切」のそれぞれの意味、違いなどにあわせて正しい使い方などもご紹介していきますよ。
もしあなたが誰かに優しさや親切をもらった時のためにこの記事を読んでおくことで、自分の気持ち通りの感謝を伝えられるようになりますよ!
優しいと親切の違いは主体性の有無!例文と解説

「優しい」と「親切」、あなたはどのように使っていますか?正直あまり違いがないように思いますよね。
「優しい」と「親切」の違いは主体性の有無で、具体的にいうと「相手に対してどの程度行動を起こしているか」にあります。
ざっくり説明すると、このようになりますよ。
- 見た目や様子、雰囲気を言葉にするなら「優しい」
- 自分のために行動を起こしてくれたなら「親切」
周りの人が知らない正しい言葉の使い方を知っていると少し嬉しいですよね!
「優しい」と「親切」の違いを知っておくと褒めること自体が楽しくなりそうです。
誰かを褒めることは自分もポジティブな気持ちになれますよね♪
では早速解説に入っていこうと思います。
丁寧な対応を受けて、お礼の手紙を書くことにします。
「〇〇の件では優しく接していただき、ありがとうございます。」
「〇〇の件ではご親切をいただき、ありがとうございます。」
使い方によっては、両方ともお礼の文章として成り立ちます。
では「優しい」と「親切」は一体どの部分が違うのでしょうか?以下にまとめてみました。
優しい…穏和、穏やかなど主にその人・その物の見え方を指す
親切…思いやり、役に立つことなど主に実際の行動での見え方を指す
「優しい」の意味は優美、細やか、大人しいなど主に見た目の印象などに使われる言葉が多いです。
優しさは見た目や雰囲気に限らず化粧品の使い心地など幅広く使われていますが、必ずしも主体性と限らないことが特徴です。
一方、「親切」は相手の身になって心の底から人のために尽くすこと、など主に行動がともなっています。

一見同じような言葉でも、こうして見てみると違うことがわかるね
相手の印象を述べるなら優しいを使おう!例文と解説
相手の印象を述べるときには行動を表す「親切」ではなく、相手の見た目や雰囲気を表す「優しい」が適していると言えます。
ここでは、相手の印象を述べる時の例文を書いてみます。
以下に2つの例文がありますが、どちらかだけが正しい使い方をしています。
あなたはどちらの例文が正しいと思いますか?
友達は優しそうな顔をしている
友達は親切そうな顔をしている
両方とも「穏やかな顔なんだな」と伝わる文章ですが、「優しそうな顔」の方が見た目や雰囲気府が伝わってきますよね。
よって、この場合は「友達は優しそうな顔をしている」が正解です。
「優しい」は主に人や物を見たときの雰囲気や様子などに対して使われる言葉で、この例文ではまさに友達の表情を説明していますね。
一方「友達は親切そうな顔をしている」はなぜ間違いなのでしょうか?
実は「親切そうな顔」という部分が、意味こそ伝わりますが間違いなのです。
「親切」とは実際に相手を助けたり気遣いをしたりなど、主に行動を表す言葉です。
もし「あの人は親切なんだろうな」と思ったときに容姿の印象を伝えるのなら「優しそう」を使いましょう!
相手の行動について述べる時に使う親切の例文と解説
「誰かのことを思って行動をとっている」と表現するなら、「親切」を使います。
そして、あとひとつ例文をご紹介します。
コーチは厳しいが私のためを思って指導してくれるので親切な人だ
コーチは厳しいが私のためを思って指導してくれるので優しい人だ
言い回しを変えただけのように思えますが、これは「親切」が正解です。
コーチ(相手)が私のためを思って指導(行動)してくれていることを伝えたいなら感謝の気持ちも込めて「親切」を使って表現しましょう。
例文には「指導してくれる」としっかり行動が書かれているため、この場合は「親切」が適しています。
ちなみにこの文を「優しい」で締めると、厳しいコーチなのに穏やかなの?となってしまい「優しい」の本来の意味とは矛盾することになります。
正直私も「優しい」と「親切」の意味を知るまでは「どっちも一緒じゃない?」と思っていました。
しかし、両方の意味を知った上で見てみると確かに間違った例文には違和感を感じますね。
言葉の意味を知っておくことで、何気なく使っていた時よりも的確なしっかりとした自分の思いを伝えることができますよ!
優しいと親切の意味には穏やかや思いやりなどがある

ここまで「優しい」と「親切」の違いや例文をご紹介してきて、違いは何となくわかっていただけたと思います。
ここからは「優しい」と「親切」が持つそれぞれの意味を掘り下げて解説していきますね。
「優しい」と「親切」の意味ですが、「優しい」には穏やか・穏和・情が細やか・健気(けなげ)、「親切」は思いやりをもって相手に尽くすなどがあるようです。
言葉の意味を何となくでも知ることで言葉をイメージしやすくなり、より自分の気持ち通りの褒め言葉や感謝を伝えることができますよ!
語源なども交えて紹介していきますので、楽しんで読んでみてくださいね♪
優しいの意味は上品や素直など様々!優の成り立ち
「優しい」の意味は「上品」や「素直」など見た目や雰囲気を表す言葉が多いです。「優しい」を辞書で引いてみましょう。
1 姿・ようすなどが優美である。上品で美しい。「―・い顔かたち」「声が―・い」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%84%AA%E3%81%97%E3%81%84/
2 他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである。「―・く慰める」「―・い言葉をかける」
3 性質がすなおでしとやかである。穏和で、好ましい感じである。「気だての―・い子」
4 悪い影響を与えない。刺激が少ない。「地球に―・い自動車」「肌に―・い化粧水」
5 身がやせ細るような思いである。ひけめを感じる。恥ずかしい。
「なにをして身のいたづらに老いぬらむ年のおもはむ事ぞ―・しき」〈古今・雑体〉
6 控え目に振る舞い、つつましやかである。
「繁樹は百八十に及びてこそさぶらふらめど、―・しく申すなり」〈大鏡・序〉
7 殊勝である。けなげである。りっぱである。
「あな―・し、いかなる人にてましませば、味方の御勢は皆落ち候ふに」〈平家・七〉
[派生]やさしげ[形動]やさしさ[名]やさしみ[名]
こんな意味もあったんだ!って言葉もありますね。

「優しい」の持つ意味というだけあって、全体的に柔らかい雰囲気を持った言葉が多いね
「優美」や「殊勝」など口語(実際に口に出す話し言葉)では聞き慣れない言葉もありますよね。
優美(ゆうび)とは「上品で美しいこと、しとやか」という意味で、殊勝(しゅしょう)とは「心がけや行動が健気で感心なこと」という意味です。
意味の中にある「思いやり」は「親切」の意味にも含まれるので、この辺りが「優しい」と「親切」が同じような言葉として使われる理由なのかもしれませんね。
4番目には「刺激が少ない」とありますが、前述した化粧品の使い心地はここに当てはまることから使われているようです。
5番目の「身がやせ細るような思い〜」から下の意味は、古今和歌集の中から例文に挙げられています。
よって「優しい」の使われ方が年々変わりつつあるのかなといった印象を受けました。
また「優」という漢字の成り立ちですが、「人」と「憂」が合わさって出来ていますよね。
「憂」という漢字は上から順に、まず人の頭部を強調した象形、真ん中にある「心」が心臓の象形です。
そして一番下が下向きの足の形を表しています。
心が塞ぎこんでしまい、うな垂れて立ち尽くす姿から「思い悩み、心配する」という意味を持つ「憂う」という字になったと言われています。

「人」が「憂」に寄り添って、思いやりを持つ人を表現しているらしいよ
この「憂」の意味を知った上で、5番目に書かれた「身がやせ細るような思い」の意味を考えてみると、「優しい」の意味と全く違うわけでもなさそうですね。
親切の意味は相手の身になって尽くすこと!深切と心切
「親切」の意味は相手の身になって尽くすなど行動を伴うような主体性の意味が記されています。続いて「親切」を辞書で引いてみます。
1 相手の身になって、その人のために何かをすること。思いやりをもって人のためにつくすこと。また、そのさま。「人の―にあずかる」「―を無にする」「―な応対」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%A6%AA%E5%88%87/#jn-114800
2 (深切)心の底からすること。また、そのさま。
「独立の気力ある者は国を思うこと―にして」〈福沢・学問のすゝめ〉
「優しい」の意味が多かっただけにシンプルな結果に見えますね。
(深切)とは「親切」よりも思い入れが深く漢語ではこの意味で用いられることが多かったため、昔は「深切」が主に使われていたそうです。
当て字で「心切」と書くこともあったそうですよ。
しかし「親切」を調べるうちに新たな疑問が湧いて来ました。

親に切ると書いて「親切」と読むけど、親切の持つ意味と一体何の関係があるの?
調べてみると「親を切る」のではなく「切に親しむ」からつけられたようです。
「切に」は、刃物を連想させることから「心が切れるほどの思い」という意味が込められています。
それに「親しい」を合わせることで「心が切れるほど相手を思い、親しみを持って尽くすこと」=「親切」になったといわれています。
優しいと親切の類語は親身や厚意など!褒め言葉にも♪

ここからは「優しい」や「親切」の他に、似た意味合いを持つ類語をご紹介します。
たまには「優しい」と「親切」では言い表せない感情が湧いてくることもありますよね。
「優しい」と「親切」の類語ですが、「優しい」には親身・物柔らか・温かい・愛想が良い、「親切」には厚意・配慮・労り・懇切(こんせつ)などの類語がありました。
何となくでも知っておいて心の引き出しにしまっておくと、誰かに話した時に喜んでもらえるかもしれません。
そして「優しい」と「親切」も互いに類語として挙げられ、共通の類語もいろいろあるようです。
2つの言葉だけでは表しきれない、日常で使いやすそうな類語をピックアップしていきます。
褒め言葉は会話するうえで欠かせませんので、何個覚えておいても損はないですよ!
優しいの類語から使いやすい8語!親身や物柔らかなど
「優しい」の類語から使いやすい言葉を8語選び、以下にまとめてみました。
- 親身(親身)…肉親に対するような深い心遣い
- 物柔らか…態度に角がなく穏やかなさま
- 温かい…愛情に富んでおり情け深い
- 愛想がいい…人当たりがよく好感が持てる
- 人懐っこい…人にすぐ親しんで懐きやすい
- 思いやりがある…気遣ったり同情したりする精神を持っている様子
- マイルド…物事の程度や人柄が穏やかなさま
- ソフト…感触や印象などが優しくて柔らかなさま
他にもまだまだありますが、日常的に使うことを考えると相手に伝わりやすく聞き覚えのある言葉がいいと思い、この8語を選びました。

凝った言葉を伝えるより、シンプルな言葉の方が刺さることもあるよね
親切の類語から使いやすい8語!厚意や配慮など
そして「親切」の類語からの使いやすい言葉も以下にまとめます。
- 厚意…他人が思いやりのある心で自分に示してくれた気持ち、厚情
- 配慮…気遣いのこもった取り計らい
- 労り…思いやりの気持ちで接すること
- 懇切…細かいところまで心が行き届き、親切であること
- 世話好き…人の面倒をよくみること、またそのさま
- 気配り…あれこれ気をつかうこと、手抜かりのないように注意すること
- 他愛…自分のことよりもまず他人の幸福や利益を優先すること
「親切」の類語から使いやすいものとして、「優しい」の類語にもあった「親身」「思いやりがある」「愛想がいい」なども類語として使うことができますよ。
「優しい」と比べると少し堅い言葉もありますが、類語としてこういう言葉も挙げられていたということで書いておきますね。
「優しい」の類語と「親切」の類語に共通するのは、どちらも相手に対して思いやりや配慮があるということですね。
そして「親切」の類語を検索していると、上級者向けの変わった読み方をする漢字を見つけました。
「遠慮」の「慮」に送り仮名がついており「慮る」と書くのですが、「おもんぱかる」と読むそうです。「思い計ること」という意味を持っています。
たまに見かける漢字ですが、恥ずかしながら私はこれまでずっと「おごる」だと思っていました。
「おもんばかる」ではなく「おもんぱかる」だそうです。面白い読み方ですね!
辞書の中にはたまにこういう言葉が出てくるので、暇つぶしに読むと学びが得られるだけでなく面白いですよ。
今後もし機会があれば、ぜひ読んでみてくださいね。
優しいと親切は英語なら共にkindで通じる!その他類語

日本語での「優しい」と「親切」の使い方は大体知っていただけたと思います。ここからは、外国の方に伝わりやすい同じような意味の言葉をご紹介します。
「優しい」と「親切」は英語なら、共に「kind」で意味が通じるようです。

「kind」は中学生のときに習った覚えがあるかも!
「kind」の意味は「優しい」「親切」「寛大」などで、基本的な「優しい」と「親切」を意味する言葉として万能なのです。
「kind」は様々な形で使える英単語なので、覚えておくと「You are kind(あなたは親切です)」のような簡単な英会話をするときに役立ちますよ!
「kind」の他にも「gentle」や「nice」などいろんな言葉があるので、是非参考にしてみてください。
まず、「心が優しい」を表す英語からご紹介しますね。
- have a heart of gold (心美しい)
- nice to ~ (~に対して優しい)
- good to ~ (~に良くしてくれる)
- tender (慈愛に満ちている)
- affectionate (愛情がこもっている)
- compassionate (共感力が高い)
- gentle(紳士的な)
- bighearted (心が広い・寛大だ)
他には、英語でこのような類語がありますよ。
「親しみ」
- friendly(友好的・親しみのこもった)
- amiable(好意的・気立ての優しい)
「人がいい・気前がいい」
- good‐natured(気立てがよい・人がよい)
- generous(気前がよい)
「甘い」
- soft on ~(甘い・鷹揚すぎる)
- indulgent to(甘い・甘やかしがちな)
ちなみに引用した部分には入っていませんが「nice」も「優しい」「親切」という意味で用いられます。
文章に書くというよりは、主に口語(話し言葉)で「kind」と同じように使われます。
「gently」は「gentle」の変形です。「柔和な」という意味で、映画やアニメなどでよく耳にする「レディースアンドジェントルメン」のジェントル(gentle)ですね。
紳士的な男性に用いられるイメージがありますが「gentle」自体に性別は関係なく、女性や人以外の対象にも使うことが出来ます。
下から4行目にある「friendly」は日本でもよく使われる英語ですよね。私自身、誰とでも仲良くなれる性格を指す言葉だと思っていました。
英語では「優しい」や「親切」を表す言葉としても使われるようです。親しみやすさや優しさ、思いやりがあることも表す最上級の誉め言葉ですね!
また下から5行目の「sweet」は、主に女性が男性に親切をしてもらったときに使います。
続いて「親切」を英語で伝える場合に使える言葉をご紹介します。
親切
- (a) kindness
- goodwill
- a favor
- sweet
親切な
- kind
- good
- friendly
- obliging
- kind‐hearted
- thoughtful
- considerate
- warmhearted
- sympathetic
- attentive
「親切」は「優しい」と比べると、意味する言葉こそ少ないですが主に「kind」が用いられているのが分かりますね。
先ほど「優しい」の英単語の部分で紹介した言葉もちらほらとあるようです。
「goodwill」とは「善意」や「親切」を表す言葉ですが、変形前の「good」も「善良」や「優秀」など誉め言葉として幅広く簡単に使える単語の一つです。
そして「親切にも…する」という表現は、以下のように表します。
- be kind [good] enough to do
- have the kindness to do
少しわかりづらいと思うので何個か例文を載せておきます。
kind enough to be cute a dog.
《be ~》(親切心から)犬をかわいがる
Jessi has the kindness to donate for hospital.
ジェシーは親切にも、病院へ寄付をしている。
「優しい」や「親切」は外国でも言葉の幅が広いようです。英語となると難しそうですが、簡単に使える英単語ならいざというときに安心ですね。
特に「nice」「kind」「good」は簡単に使えるので、感謝に添えてあげると喜ばれますよ。
もし英語でお話する機会があるときに、今回ご紹介した内容が参考になれば嬉しいです!
まとめ

- 「優しい」の意味は優美、細やか、大人しいなど主に見た目の印象などに幅広く使われ必ずしも主体性があるとは限らない
- 「親切」は相手の身になって心の底から人のために尽くすこと、など主に行動がともなっている
- 見た目や様子、雰囲気を言葉にするなら「優しい」、自分のために行動を起こしてくれたなら「親切」という違いがある
- 「優しい」には穏やか・穏和・情が細やか・健気(けなげ)などの意味がある
- 「親切」は相手の身になって何かをすること、思いやりをもって人のためにつくすこと、またそのさまという意味がある
- 「親切」は「親を切る」ではなく「切に親しむ」からつけられた
- 「優しい」の類語には親身・物柔らか・温かい・愛想が良いなどが挙げられている
- 「親切」の類語には厚意・配慮・労り・懇切(こんせつ)などが挙げられ、「優しい」と「親切」も互いに類語として使われる
- 「優しい」と「親切」を英語にすると、共に「kind」になる(口語なら「nice」も使える)
今回は「優しい」と「親切」の違いとそれぞれの意味・類語、そして英語で表す場合の言葉をご紹介しました。
あなたが今後誰かに優しく対応してもらった時や親切をしてもらった時は言葉の違いを思い出して、使い方に応じて積極的に褒めたり感謝を伝えてみてくださいね。
あなたの思いを正しく言葉にすることであいまいさが無くなり、はっきりとした気持ちを伝えることが出来ますよ!
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