会社の同僚や上司、取引先の人を褒めるとき、ビジネス上「優しい」を多用してしまい、相手を不快にさせている人は多いです。
私も後輩に正論を言った際「優しいんですね」と返され、真面目に受け止めてもらえていないように感じたことがあります。
一瞬「馬鹿にしているのかな?」と思ってしまいました。
このように、相手に「優しい」と褒めたつもりで言っても、素直に受け取ってもらえないと反感を買ってしまいます。
しかし、優しいという言葉は具体的に言い換えるだけで、相手への伝わり方も変わります。
優しいの言い換えやビジネスシーンでの言葉遣い、ビジネスの場で上品な印象を与える方法をご紹介します。
「親切ですね」などと言い換えられると、自分の考えが相手に伝わりやすくなり信頼も得られるようになります!
優しいをビジネスの場で言い換えて好印象を得よう!
ビジネスの場に限らず、世の中には「優しい」と言われ、快く思わない人もいます。
特に男性は、『女性から「優しい」と言われても、素直に受け取れない』という声もあります。
「優しい」をビジネスで使うなら、優しさのパターンに応じて言葉を言い換えましょう。
このように使い分けができると、どんな優しさなのかが伝わりやすくなりますよ。
- 悲しい人に寄り添える人
「親切な」「思いやりがある」 - 人のお世話ができる人
「面倒見がいい」 - 時と場合に応じて行動が起こせる
「気が利く」「気配りができる」 - 人一倍思いやる心を持っている人
「温厚」 - 心が広い人
「おおらか」「寛大」
そのため、ビジネスの場ではより気をつけなければなりませんね。
相手の性格や雰囲気について「優しい」と言うだけでなく、様々な言い回しが使えると、語彙や教養がある「できる人」と思ってもらえますよ!
性格・人柄について言い換えるには?
性格や人柄を褒める際に「優しい」を使うことが多いでしょう。この使い方が最も多いかもしれませんね。
しかし一括りに「優しい」と言っても、実はさまざまな意味やニュアンスがあります。
悲しんでいる人に寄り添える人には?
もし泣いている人に対して優しい言葉をかけている人を見かけたら、「優しい人だ」と思いますよね。
人の性格に対して「優しい」と表現するときは、このようなケースが多いです。
このように、他人の喜怒哀楽に対して優しい対応ができる人には、「親切な人」「思いやりがある人」とほめましょう。
「優しくしてくれてありがとう」と「親切にしてくれてありがとう」では、後者の方が具体性がありますよね。
最もメジャーな使い方でもこのように言い換えられると、具体性が増して相手に伝わりやすくなります!
相手を配慮しつつ人のお世話ができる人には?
相手に配慮しながら人のお世話をするのがうまい人には「面倒見がいい人」とほめましょう。
面倒見がいい人とは、時には丁寧に教え、時には相談に乗り、時には叱ってでも正しい道を教えることができる人です。
例えばビジネスの場合、後輩に対して「あの同僚は優しいよ」と言うよりも、「あの同僚は面倒見がいいよ」と言った方が、後輩へ同僚の人柄がよく伝わります。
ビジネスの世界では、ただ「優しい人」だけでは「甘やかしてくれる人」とも捉えられてしまいます。
あなたのためを考えて手助けをしてくれる先輩がいたら、他の人へ「面倒見がいい先輩で、いつも助けられています」と紹介すると、先輩の株をあげることができます。
その場に応じて優しい行動を起こせる人には?
時と場合に応じて相手に対して気配りができる人には、「気が利く人」「気配りができる人」とほめましょう。
例えば、仕事中に飲み物を差し入れしてくれた時などが当てはまりますね。
「気配り」と似た言葉で「気遣い」があるけど、どう使い分ける?
「気配り」は、「気遣い」とは意味が異なります。
- 気配り
状況に応じで適切な行動をとること
相手が求めていることを予測して、前もって準備する - 気遣い
心をつかって配慮したり注意を払ったりすること
行動よりも気持ちに対して使うことが多い
よくビジネスシーンでは「お気遣いありがとうございます」と言いますよね。
これは、相手が自分のことを「気にかけてくれた」「心配してくれた」など、配慮の気持ちを受け取ったときに表現する感謝の言葉として使われます。
他の人より思いやる心が強い人には?
思いやりの心が他の人よりも強い人には、「温厚な人」とほめましょう。
「温厚である」とは、穏やかで情に厚いという意味です。
「温かい人」という表現をすることがありますが、この表現へ「情に厚い」という意味が加わります。
実際「温かい」と「情に厚い」は似たような意味ですが、これらが合わさることでより強い意味となります。
心が広くて細かいことを気にしない人には?
多少の失敗も笑って許せるくらいの心が広い人には、「おおらかな人」「寛大な人」とほめましょう。
この言葉は、「細かいことにこだわらない」という意味です。
「心が広い」という言葉も誉め言葉として有効ですが、知性さを感じられる誉め言葉は「おおらか」「寛大」がいいですね。
また、他にも「器が大きい」「度量(どりょう)が広い」とも表します。
「優しい」だけではその人がどんな優しさを兼ね備えているのかわかりませんが、「おおらか」などと表すと、何事にも動揺せず受け止めてくれる人だとアピールできますね。
優しい印象や雰囲気を持つ人には?
人の雰囲気について、「優しい雰囲気の人」「優しい感じの人」ということもありますね。
しかし印象や雰囲気に対して使う「優しい」も、実はたくさんの意味があります。
- 穏やかな人、おとなしい人
「柔らかい」 - 上品で美しい人
「優美」「しなやか」 - 美しさの中に気品がある人
「麗しい」 - 品格があり礼儀正しい男性
「紳士的」
穏やかな人、おとなしい人にたいして「柔らかい人」が当てはまります。この言葉は、人の雰囲気を表すのに最も使われています。
「あの人は柔らかい話し方をする」と言うこともありますね。
ただ単に「優しい雰囲気の人」というよりも「柔らかい雰囲気の人」と表現した方が、イメージしやすいです。
また、上品で美しい人に対しては「優美な人」「しなやかな人」と表現します。相手の所作や動き、服装などについて使うことも多いです。
特に「しなやかである」は、竹などを大きく曲げても折れないという意味もあります。
ちなみに私は、「しなやか=上品で美しい」という意味だとは知りませんでした。
これを機に覚えて使いこなせると、あなたも知性的な人になれますよ♪
そして、美しさの中に気品があるや、機嫌や顔つきが晴れ晴れしている人には「麗しい人」と表現します。
単に「美しい」と言うよりも、「麗しい」という言葉には「気高い・晴れ晴れしている・整っている」という意味が加わります。
また上の優美である・しなやかであると比べると、美しさが先行しているように感じます。
人に会った時の丁寧なあいさつで「ご機嫌麗しゅう(ごきげんうるわしゅう)」というフレーズもありますね。
さらに、男性に対して使う表現には「紳士的」があります。品格があり礼儀正しいや、誠実であるという意味があります。
女性が男性を褒める際に使えると、相手の男性は喜ぶかもしれませんね♪
優しいビジネス人は社会人のスキルを磨くことで目指す!
社会人となりビジネスの世界へ飛び込んだからには、社内の同僚や上司のみならず、取引先の人といったお客様との人間関係も大切にしなければなりません。
そのための手段の一つとして、優しい言葉遣いがあります。
優しい言葉遣いができるようになると、ビジネスの場での多様な人間関係を円滑にできます。
ここでは社会人としてのスキルを磨くべく、ビジネスの場で優しい言葉遣いをするためのポイントを、例文と併せて解説します!
これから紹介するポイントをしっかりと押さえ、柔らかい言葉遣いと表現を駆使できるようになると、社内外の多くの人から信頼される素敵な社会人になれますよ!
ここで解説するのは、以下の3点についてです。
- クッション言葉を使う
- 依頼形を使う
- 肯定表現へ変換する
このようなことを気をつけるだけで、相手へのものの伝わり方が柔らかくなります!そうしてあなたは、気配りのできる人と思われるので、人間関係も円滑になりやすいですよ♪
クッション言葉で気配りを込めよう!
まずクッション言葉とは、頭につけることで本題を柔らかく伝えられるようになるフレーズです。
クッション言葉は、具体的に以下のようなものがあります。
(お断り)恐れ入りますが、申し訳ございませんが、生憎ですが、せっかくですが、誠に申し上げにくいのですが
(依頼)恐れ入りますが、失礼ですが、お手数ですが
「お忙しいところ、お取り込みのところ、お急ぎのところ」 + 恐れ入りますが
(質問)恐れ入りますが、失礼ですが、差し支えなければ
(提案)差し支えなければ、よろしければ
このクッション言葉を使えば、相手も受け入れやすくなります。以下がその例文です。
(お断り)誠に申し上げにくいのですが、先ほど受付は終了いたしました。
(依頼)お忙しいところ恐れ入りますが、この方法をご教授いただけますでしょうか。
(質問)差し支えなければ、事情をお伺いしてもよろしいでしょうか。
(提案)差し支えなければ、明日の夕方にお伺いしてもよろしいでしょうか。
例文から分かるとおり、言いにくいこともクッション言葉を使うことで柔らかくなりましたね!
文から配慮の気持ちが伝わるので、相手に聞き入れてもらいやすくなります。
依頼形も駆使すると相手の気持ちも動きやすい!
依頼形とは、「〜していただけますでしょうか」や「〜をお願いできますか」といった形です。
人はこのような形で頼まれると「〜しなさい」や「〜してください」と言われるよりも、やってあげようじゃないかという気持ちになります。
(例)読んでください→お読みいただけますでしょうか。
この際、上で紹介したクッション言葉も一緒に使えると、より印象が良くなります!
(例)お忙しいところ恐れ入りますが、この資料をお読みいただけますでしょうか。
また場合にもよりますが、してほしい理由や相手が依頼を受け入れるメリットも添えると良いでしょう。
そうすることで、相手がより依頼を受けようという気になります!
(例)お待ちください→できたてをお持ちしますので、お待ちいただけますでしょうか。
肯定表現へ変換すると前向きにとらえてもらえる!
これは、学校現場で児童・生徒を指導する際にも用いられます。
否定的な内容も肯定表現へ変換することで、相手に前向きに捉えてもらえます。
(例)チャイムが鳴るまで教室から出てはいけません。
チャイムが鳴るまでは教室の中にいましょう。
このように否定表現を肯定表現へ変換することで、相手は内容を前向きに捉えられるようになります。
加えて、具体的に何をすればいいのかが明確になります。
しかし、この表現を用いても否定していることには変わりありません。
そのため、相手から聞かれる前に代替案を用意しておきましょう。そうすれば尚、印象が良いですよ!
(例)できません→できかねます。他の業者をご紹介いたします。
分かりません→分かりかねます。〇〇さんが詳しいので、呼んで参りましょうか。
さらに、二重否定は肯定表現に変えられます。
以下の例は同じ内容ですが、明らかに印象が異なりますね!
(例)マスクをしていない方はご入場いただけません。
マスクを着用している方はご入場いただけます。
このような二重否定を用いる注意喚起も、肯定表現に変えれば柔らかくなりますね。
優しいビジネス人は上品さも兼ね備えている!
実はビジネスの場では優しい印象に加え、上品な印象も大切です。
ビジネスの場に限らず「上品な女性に惹かれる」ということはよくありますが、男性でも上品な人は印象が良いですよね。
そこでここからは、上品な印象を与える方法について解説します。具体的には、以下の通りです。
- 少しだけ上品に言い換える
- 敬語を正しく使う
- 和語と漢語を使い分ける
- 語尾をすっきりさせる
この4点ができるだけで、かなり知的で上品な印象になります!
また上品な印象が与えられれば、自然に優しい印象も与えられるようになります。しっかり学んでいきましょう。
上品な言い換えをするには?
普段何気なく使っているフレーズを少し言い換えるだけで、品格が上がります。
(例)ありがとうございます・申し訳ありません→恐れ入ります
「恐れ入ります」は、感謝と恐縮がセットになっている言葉です。
これは基本的に、相手に感謝を伝える際に使います。
日本人はよく、何かをしてもらった際に「すみません」と言います。
確かにこのフレーズには、「自分のために相手に手間をかけてしまい申し訳ない」という意味を含んでいます。
しかしこれでは、相手に対してネガティブな印象を与えてしまうことがあります。
だからと言って、相手に手間をかけてしまったのにも関わらず「ありがとうございます」と伝えては、少し能天気です。
そのため、感謝と恐縮の2つの意味がある「恐れ入ります」が丁度良いです。
このフレーズを使うことで、恐縮しながら相手に感謝を伝えられる上に、知性と配慮も感じられます。
(例)分かりました・了解しました→かしこまりました
まず「分かりました」は、コミュニケーションの面を考慮すれば少し雑に感じます。
また「了解しました」は、目上の人へ使うと失礼になってしまいます。
そのため、上司やお客様に対して使うのには向きません。
この2つの言い換えとなるのが、「かしこまりました」です。
このフレーズは、理解や承認を表す言葉の中でも最も相手へ敬意を伝えられます。
そのため、自然と「かしこまりました」と言えるようになると良いですね。
丁寧語と尊敬語・謙譲語を正しく使い分けよう!
ビジネスの場で敬語は必須です。しかし敬語は「です・ます」をつければ良いと思っていませんか?
当たり前ですが、違います。以下の「丁寧語・尊敬語・謙譲語」が敬語です。
- 丁寧語…丁寧に表現することで敬意を表す
- 尊敬語…動作をする人に対して敬意を表す
- 謙譲語…へりくだった言い方をすることで敬意を表す
しかし間違った使い方をすれば、失礼にあたることもあります。詳しくみていきましょう。
〈「いただく」と「くださる」は本来の意味が違う〉
「いただく」と「くださる」はわかりにくい敬語の代表例ですね。簡単に言うと、以下の意味を持ちます。
- いただく…「もらう」の敬語
- くださる…「くれる」の敬語
まず「いただく」というのは、自分の動作を謙遜する謙譲語です。
一方で「くださる」は、「(相手が)〜してくれる」を表す尊敬語です。
ちょっとわかりにくいなぁ。
理解を深めるために、例文「取引先の方がみかんをくれた。」からみていきましょう。
- 「取引先の方がみかんをくださった。」
くださる…視点が「取引先(相手)」になる - 「私は取引先の人にみかんをいただいた。」
いただく…視点が「私」になる
まず例の「取引先の方がみかんをくれた」は、「くれた」を「くださる」へ変えれば良いです。
次に「いただく」への変換は、視点が私となります。そのため、主語が取引先の方から「私」へ変わります。
そのため、取引先の人「に」となるので、気をつけなければなりません。
〈「とんでもない」は、自分を謙遜するか驚いたときに使う〉
相手の行動などを褒める機会があると思います。しかしその際、「とんでもない」と使うのは良くありません!
「とんでもない」には2パターン使い方があります。しかし、どちらも相手を褒める意味ではなく、「謙遜(けんそん)・驚き」に使われます。
まず「とんでもない」は対象となる人やもの、状況に対する驚きや反発の感情を表す強い否定の形容詞です。
そのため、目上の人に対して使わない方が良い言葉です。
つまり「『とんでもない』を誤用するなんてけしからん!」ということだね
「とんでもない」を使った例文は、こちらです。
(謙遜)
上司:「君は優しいんだね。これからも後輩の指導を頼むよ。」
自分:「とんでもないです。〇〇さんにご指導していただいたからには、自分もそのくらいして当然です。」
(驚き)
「あの有名な〇〇さんからお声掛けいただいたのは、とんでもないことです。」
このように敬語を正しく使いこなせると、知的な印象になります!
ちなみに、「とんでもございません」という言葉がありますね。これ実は、間違いです。
なぜかというと「とんでもない」そのもので、一つの形容詞だからです。そのため、「とんでも」と「ない」に分けることはできません。
和語と漢語を使い分けると言葉の印象も変わる
和語はひらがなを使って砕いた言葉、漢語は漢字のみで表した熟語です。
例えば「起きる」は和語ですが、漢語では「起床」です。
ひらがなが混じっている和語を使った場合は、柔らかい雰囲気が出ています。対して漢語を使った場合は、堅くきちんとした印象となります。
和語と漢語でどのように印象が違うのか、以下の例文を見てみましょう。
- 「こちらのボールペンをお使いください。」
「お使い」…和語 - 「こちらのボールペンをご使用ください。」
「使用」…漢語
上の文は和語を、対して下の文は漢語を使いました。「お使いください」の方が、ちょっと柔らかい印象ですね。
このような和語と漢語を使い分けることで、相手へ伝わる印象が変わります。
出したい印象や雰囲気に合わせて、和語と漢語を使い分けると良いでしょう。
語尾をすっきりさせるとより上品な印象になる!
上品な印象を与えるためには、話し方も重要です。
ニュースキャスターのように語尾をすっきりさせて話すと、知的で上品な印象を与えられます。
反対に「〜ですぅー」や「〜はぁー」というように語尾を伸ばして話すのは、幼く頭が悪そうに見えます。
そのため、あまり印象が良くありません。心当たりがある人は、今すぐ直す努力をしましょう。
まとめ
- 「優しい」の一言は「おおらかである」や「優美である」というように、相手の人柄や印象に合わせて多様に言い換えられる
- クッション言葉・依頼形・肯定表現を使うことで、優しい言葉遣いにできる
- 言葉遣いに気を配れると社会人とスキルが磨かれる
- 「上品に言い換える・敬語を正しく使う・和語と漢語を使い分ける・語尾をすっきりさせて話す」この4点を気をつけるだけで上品な印象を与えられる
- 「もらう」は「いただく」へ、「くれる」は「くださる」に変換する
- 上品さが身につけば自然と優しい印象になる
今回は、人柄や雰囲気を表す「優しい」の言い換え、社会人としてのスキルを磨くビジネスで使える言葉遣い、上品さを身につける方法について説明しました。
言い換えや言葉遣いを駆使するだけで、周りからの印象が変わることがよく分かりましたね。
あなたが人から「優しい」と思ってもらえるような人になれることを祈ります!
「優しい」はもちろんのこと、言葉のレパートリーが広がれば会話力も上がります。ビジネスで関わる人たちとの会話にもお花が咲きます。
この本は、ビジネス上で交渉するとき、相手心をつかむための話術に役立ちます。
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