赤ちゃんを抱っこしていると、温かくて、柔らかくて、いい匂いがして、幸せな気持ちになりますよね。
出産後の女性にとって、「赤ちゃんの抱っこ」は避けることのできない育児です。そして力仕事の重労働でもあります。
赤ちゃんはかわいいけど、長時間の抱っこは大変。
私自身、育児中の抱っこは本当に重くて大変で、ひたすら「早く寝ろ~、早く寝ろ~」と心の中で呪文のように唱えていました(笑)
そんな重労働&長時間の抱っこが原因で腕や脇、背中が筋肉痛になり、胸にも痛みを感じることがあります。
整形外科や接骨院を受診すると、「胸の筋肉痛に似ている」と診断されることが多いです。しかし別の原因もあります。
ここでは、抱っこによる筋肉痛で胸にも痛みを感じる理由と、筋肉痛以外で胸が痛くなる原因を解説します。
抱っこが原因の筋肉痛で胸が痛くなるのはなぜか
抱っこや、抱っこしながら授乳をする時、主に上腕二頭筋と大胸筋という筋肉が使われます。腕の力こぶができる筋肉と、胸の筋肉です。
この二つの筋肉を使いすぎて筋肉痛になると、胸に痛みを感じることがあります。
抱っこ以外でも、重い荷物を持つなどして腕に力をいれた時にも胸が痛むようであれば、筋肉痛の可能性が高いでしょう。
10kgの米袋を例えて説明します。産まれた時の赤ちゃんは体重3kgほどですが、1歳を迎えるころには10kgに増えています。
皆さん、想像してみてください。生まれたころはあんなに小さかった赤ちゃんが、たった1年間で3倍にも増えて、10kgの米袋と同じくらいの重さに成長するのです。
10kgの米袋を、毎日何時間も抱え続けることを想像してみてください。相当きついですよね。
これほどの重さを、もともと筋肉量の少ない女性が毎日何時間も抱え続けるわけですから、筋肉痛になるのも当然といえば当然ですよね。
抱っこで筋肉痛になってしまった時の対処法をご紹介
筋肉痛になるからといって、赤ちゃんの抱っこをやめるわけにはいきませんよね。
整形外科を受診したり、通院している方でも、お医者さんから「赤ちゃんを抱っこしている間は仕方ない」などと言われ、痛みに耐えながら抱っこしている方もいらっしゃると思います。
そこで、痛みの軽減や予防におすすめのストレッチ・筋トレ・セルフマッサージをご紹介します!
まずは、胸とその周辺のストレッチで筋肉痛を改善していきましょう。
この時、うつむき姿勢にならないよう、顔はまっすぐ前を見るようにしましょう。
胸筋が程よく伸びる感じが、気持ちいいですよ!
このとき、肘が曲がらないように気を付けましょう。胸を前~上に向けるイメージであごは引かないようにします。
抱っこの前後や、同じ姿勢を続けた時にこのストレッチをすると、肩・腕・胸の筋肉がのびてスッキリとします♪肩こり・首こりの改善にもおすすめです。
また、普段から筋力をつけておくと筋肉痛にもなりにくいですよ。筋トレで筋力をアップして、筋肉痛の改善を目指しましょう!
まず、腕の筋力アップといえば腕立て伏せですね。おすすめは、膝をついたままでの腕立て伏せです。
腕立て伏せを急に始めるのはつらいものですし、「つらい」と思うとなかなか続きませんよね。
このやり方だと筋力の少ない方でも無理なく腕立て伏せをすることができます。まずは1日10回を目標に始めてみましょう!
腹筋・背筋も、布団の上で寝たままできるトレーニングをご紹介します。
辛い場合は膝を曲げて、膝をお腹に近づけるイメージでゆっくりと動かすだけでもOKです♪
呼吸を止めないように、こちらも1日10回を目標にやってみましょう。
この他、全身を鍛えるにはプランクやスクワットもおすすめです。自分の体調に合わせて無理のない範囲でやってみましょう。
筋肉痛以外に考えられる原因はなにがある?
抱っこが原因でも、筋肉痛以外で胸に痛みを感じることがあります。胸の痛みの原因として多いのは、肋間神経痛・脛性胸痛・狭心痛・気胸です。
まずは「肋間神経痛」について、説明してもらいましょう。
抱っこのような同じ姿勢を長時間続けることで、胸の筋肉の緊張が続きます。すると、肋骨に沿った「肋間神経」が圧迫されて、痛みを感じるのです
神経が胸の近くを通っているので、その結果「胸が痛い」と感じるのですね。この場合は、筋肉の緊張を緩めることが痛みを和らげることにつながります。
抱っこをしている時以外でも、以下のような時に胸の痛みを感じる場合は肋間神経痛の可能性が高いです。整形外科の受診をおすすめします。
- 就寝時、体制を変えた時
- くしゃみをした時
- 深呼吸をした時
- 上半身をひねった時
- 肩を回した時
次は、「頸性(けいせい)胸痛(頚性神経筋症候群)」の説明です。先生、お願いします。
首周辺の筋肉が緊張して固くなる、「首こり病」ともいわれる病気です。胸の痛みのほかに首の痛みや首こり・肩こりも感じるならこの可能性が高いです。
また、痛みの他に「体のだるさ」「頭痛」「めまい」といった症状が出ることもあります。
抱っこ時の不安定な姿勢、赤ちゃんに合わせたうつむきの姿勢、抱っこ紐による圧迫などが原因と考えられます。
改善には頸椎のずれを治すことと、首の筋肉をほぐすことが必要です。
診断にはレントゲン・問診・精密検査が行われたり、受診する科も症状によって多岐にわたるため、特定が難しいのが現状です。
整形外科であればレントゲン撮影ができ、牽引・コルセットなどでの治療が可能です。鍼灸整骨院では鍼治療やマッサージが行われます。
まずは首のこりをほぐし、それでも症状が改善しない場合は頸椎のずれを治す治療が必要になるでしょう。
また、「狭心痛」も考えられますね。心臓の表面にある冠動脈(かんどうみゃく・心臓に血液を送るための血管)が狭くなることで生じる胸の痛みです。
「赤ちゃんの抱っこ=重いものを持つ動作」が原因で胸に痛みを感じる場合、労作性狭心症の可能性があります。
「数分間抱っこしただけで痛みが生じる」「安静にしてもしばらく痛みが治まらない」「就寝時や寝起きにも痛みを感じる」などの症状があれば、循環器科や循環器内科を受診しましょう。
最後に、「気胸(ききょう)」の説明をします。これは何らかの原因で肺に穴が開き、そこから空気が外に漏れてしまう病気です。
胸だけでなく、「肩や背中も痛い」「深呼吸や咳で痛みが強まる」「息苦しさを感じる」という症状がみられる場合は気胸の可能性があります。
肺の状態によって処置や手術が必要になることもありますので、気胸が疑われる場合は呼吸器科や呼吸器内科を受診しましょう。
抱っこのときは赤ちゃんと自分の体を密着させる!
筋肉痛になりにくい、負担の少ない抱っこのポイントは、体の一部に過度な負担がかからないような抱き方をすることです。
横抱き・縦抱き、いずれの場合も、ポイントは「赤ちゃんと自分の体を密着させること」です♪
まず「横抱き」の場合は、腕全体で輪を作り、包み込むように抱きます。この時、赤ちゃんの体を手のひらではなく、肘から手首にかけての腕全体で支えるようにしましょう。
赤ちゃんの頭を支えている方の手でもう片方の腕をつかみ、赤ちゃんの体を自分の体にしっかりと密着させます。
そして「縦抱き」なら、赤ちゃんのお尻を肘から手首にかけての腕全体で支えます。この時、赤ちゃんの両膝・両股関節がしっかりと曲がり、M字になるようにしましょう。
両脇を締めて赤ちゃんの顔を自分の肩付近にあて、お腹を自分の体に密着させます。
赤ちゃんの体を腕全体で支えるといいんだね。
赤ちゃんと自分の体を密着させることも大事なのね。
密着させることで、抱っこが楽になるだけでなく、赤ちゃんとの絆も生まれやすくなりますよ。
痛みの改善には育児の負担を減らすことも大事!
育児中の体への負担はとても大きいです。痛みの改善方法や予防方法をお伝えしてきましたが、その他に、やはり育児の負担そのものを減らすことも大事です。
新生児期であればベビーラック、首が座って以降はバウンサーなどを利用して抱っこの時間を減らしてみるのも一つの方法です。
また、力仕事の抱っこはパパ向きの育児とも言えます!テレビは赤ちゃんを抱っこしながらでも見られます。スマホは赤ちゃんをおんぶしながらでも見られます。
パパが積極的に抱っこをして、ママの「赤ちゃんを抱っこしながら○○」のながら家事を減らしましょう!
その他、ひとり親やワンオペ育児でどうしても赤ちゃんから目も手も離せない!という方は、地域の一時保育事業やファミリサポート事業も利用してみましょう。
無料のサービスではありませんが、ベビーシッターを雇ったり、遠方に住む親類等を頼るよりは少ない負担で利用することができます。
私自身、育児中に一時保育を利用したことがあります。生後3か月くらいで、まだ人見知りもしないし、離乳食もいらない時期だったので、かえって預けやすかったと思います。
そして、一人で手ぶらで歩ける身軽さに感動したことは今でも忘れません。あの時、息子を預かって下さった保育士さんには本当に感謝です!
抱っこが原因の筋肉痛は腕もなりやすい
胸以外に抱っこで筋肉痛になりやすい場所として、腕があります。原因として、赤ちゃんの重さはもちろんですが、姿勢や筋肉量の不足、抱き方、なども考えられます。
初めにお伝えした通り、赤ちゃんを抱っこする時には上腕二頭筋が使われますので、この筋肉が弱いと腕の筋肉痛になります。そこから、上腕二頭筋と大胸筋と繋がっている脇も筋肉痛になることがあります。
予防・改善のためには、胸の筋肉痛と同じようにストレッチ・筋トレ・負担の少ない抱っこを実践していきましょう。
また、腕におすすめのマッサージもご紹介します。
このとき強く握ると痛いのと、握っている腕の方がつかれてしますので、軽く・ゆっくりと行うのがポイントです。
「疲れた時はマッサージで癒されたいけど、赤ちゃんを一人で見ているとなかなかマッサージ屋さんには行けない」というあなたにおすすめです。
そんな時は手軽にできるセルフマッサージで腕の疲れを軽減させましょう。お風呂の中で行うのもいいですね♪
手首に負担がかかりすぎると腱鞘炎にもなる
胸・肩・腕の先につながる手首も、赤ちゃんの抱っこで負担のかかる場所です。特に手首の腱鞘炎(けんしょうえん)は、筋肉痛と同じように赤ちゃんの抱っこが原因で発症しやすい症状です。
手首は、体の中でも特に筋肉量の少ない場所ですが、育児中は、抱っこ・授乳・沐浴などでどうしても手首に負担がかかります。
筋肉量の少ない手首を酷使することで、 腕の筋肉痛と共に手首の腱鞘炎が起こりやすくなります。
抱っこによる腱鞘炎を防ぐには、筋肉痛と同じように、負担の少ない抱っこのコツをつかむことが大切です。手首と手のひらだけで赤ちゃんを支えることがないように気を付けましょう。
私も次男が生まれた後に腱鞘炎になり、しばらく接骨院へ通いました。2000g台で生まれた長男と違って次男は3000g後半・・・はい、重かったんです(笑)
抱っこは筋肉痛以外に背中が痛くなることもある
胸・肩と繋がっている背中も、抱っこが原因で筋肉痛のような痛みを感じやすい部分です。赤ちゃんを持ち上げたり、抱っこで前かがみの姿勢になることで背中の筋肉が緊張し、背中のこりや筋肉痛が起こります。
特に現代女性は華奢な人が多く、筋力不足のため筋肉痛になりやすいといえます。
背中の中でも、肩甲骨周りの筋肉の緊張は、抱っこ中の姿勢が猫背になっている人に起こりがちです。もともとの姿勢の悪さも影響しますが、抱っこ中に赤ちゃんを見るためには、どうしてもうつむき姿勢にならざるを得ないので、仕方ない部分もあります。
同じ姿勢で抱っこをし続けない、肩回りをほぐす、ことを意識しましょう。
また、始めは軽い痛み程度の筋肉痛でも、疲労がたまり痛みが慢性的になると、ふとした瞬間に激痛が走る「ぎっくり背中」を発症してしまうこともあるので注意が必要です。
片手で抱っこをしたり、抱っこをしながら家事を行うなど不安定な姿勢をとることで、背中に負担がかかり、ぎっくり腰と同じく急な痛みを背中に感じます。抱っこ以外にも日常の様々な場面で起こる症状です。
多くは安静にすることで軽快するようですが、痛みが長引いたり悪化する場合は整形外科、整骨・接骨院等を受診しましょう。
背中に痛みを感じた場合も、胸や腕と同じように無理のない範囲でストレッチや筋トレを行い、それでもよくならない場合は整形外科や整骨・接骨院を受診しましょう。
まとめ
- 抱っこのし過ぎで胸が痛くなるのは、上腕二頭筋と大胸筋の緊張が続くためであり、胸自体が筋肉痛というわけではない
- 筋肉痛以外で胸が痛くなる原因には肋間神経痛・脛性胸痛・狭心痛・気胸などがある
- 抱っこで筋肉痛になってしまった時は、ストレッチ・筋トレで痛みを軽減できる
- 筋肉痛を防ぐ抱っこのポイントは、「腕全体を使い、赤ちゃんと自分の体を密着させる」こと
- 痛みの軽減には育児の負担を減らすことも大事で、モノや人の力を借りるといい
- 抱っこでは胸以外に腕が筋肉痛になりやすい
- 腱鞘炎も抱っこが原因で発症しやすい症状のひとつ
- 背中も抱っこで痛みを感じやすく、「ぎっくり背中」になることもある
赤ちゃんは、肌のぬくもりに触れ、心臓の鼓動が伝わる抱っこで安心感を得ることができます。
そして、心が安心感で満たされ、大人との信頼関係が築かれることで、自立や挑戦といった大きな一歩を踏み出すことができるようになります。
しかし、抱っこをするときに普段使わない筋肉を無理やり使い続けると、筋肉痛にならないような部分が痛くなるのですね。
自分の体をいたわることを忘れずに、できる範囲で赤ちゃんを抱っこしてあげてください。
コメント