近年では正社員として働くだけでなく、様々な働き方を選べるようになりました。
そのため、加入する保険制度も国民健康保険の人、社会保険制度の人、扶養家族として家族の保険に加入する人様々です。
社会保険に加入する場合、加入日=入社日となることもありますが、働き方によっては加入の条件を満たしたあと、3ヶ月目からの加入となる場合もあります。
「自分は、社会保険の適用はできないって言われたけど違法じゃないの?」と心配な人も安心してください。
実は、3ヶ月目から加入するのは社会保険の加入の条件を全部満たした場合だけなんです。あなたの働き方は、条件によっては3ヶ月目から加入しなくても違法性がないのです!
社会保険制度を知って、あなたの働き方で社会保険に加入しないのは違法性があるのか確かめましょう。
社会保険に3ヶ月目から加入は違法?制度と罰則も紹介
社会保険制度は令和4年10月に制度変更が行われ、今まででは社会保険加入の条件に当てはまらなかった場合でも加入の対象となっている場合があります。
旧制度では、試用期間などで3ヶ月目から社会保険に加入することに違法性はありませんでした。
ところが、変更後の制度では、試用期間であっても、継続した雇用が見込まれる場合には入社日から加入しないと、違法になります。
社会保険制度は、加入の条件を満たした場合に必ず加入しなければならない制度です。
会社との折半で保険料を納付するため、国民健康保険、国民年金に加入するよりも自分の負担が少なく手厚い補償を受けられます。
正社員として勤務する場合には試用期間中でも加入が必要になり、入社日が社会保険制度の加入日となります。
しかし、パートやアルバイト、契約社員の場合には加入の条件が満たされていることが社会保険の加入条件となり、加入日=入社日とならないこともあるのです。
加入条件を満たしているのにも関わらず、社会保険に加入させてもらえなかった場合には違法性があるとされて会社側が罰則を受けることになります。
令和4年10月からの主な制度の変更点は3点
令和4年10月から社会保険制度が変更されて、今までよりも社会保険に加入しなければならない対象の人が増えました。
対象となる従業員の人数、雇用期間、保険適用外の条件が変更されています。
人数や雇用期間などの社会保険加入の条件の変更の有無は以下の通りです。
令和4年10月以前 | 令和4年10月以降 | 変更の有無 | |
雇用見込み期間 | 1年以上 | 2ヶ月を超える | 変更有 |
従業員数 | 501人以上 | 101人以上 | 変更有 |
週の労働時間 | 20時間以上 | 20時間以上 | 変更なし |
お給料 | 8.8万円以上 | 8.8万円以上 | 変更なし |
学生の有無 | 学生ではない | 学生ではない | 変更なし |
また、期限のある契約社員の場合の社会保険加入の適用除外の条件も変更されました。
令和4年10月以前の制度では2ヶ月以内の期間を定めて働く人が契約更新ではじめの2ヶ月を超えて働く場合には3ヶ月目から社会保険に加入することになっていました。
しかし、制度の変更により契約書類などの書類で更新の可能性が記されている場合や更新の実績がある場合は2ヶ月以上の勤務が見込まれるとみなされます。
そのため、入社当初から社会保険の加入が必要になります。
正社員の4分の3の日時働くときは社会保険に加入が必須
正社員として勤務する場合はもちろんのこと、パートやアルバイトなどで働く場合でも社会保険の加入が必要になる場合があります。
フルタイムで働く場合の4分の3以上の勤務時間、日数を働く場合はアルバイト、パートなど雇用条件に関わらず社会保険の加入が必要です。
- 従業員の人数が101人以上の企業で働いている
- 週の所定労働時間が20時間以上ある
- 月額賃金が8.8万円以上ある(交通費は含まない)
- 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない(学生でも例外あり)
以上の条件がすべて満たされた場合、社会保険の加入義務が発生します。
また、試用期間中でも給料が発生しながら働いている場合には、加入の義務が発生しています。
「試用期間中だから自分は関係ない」ということはありません。
ただし、「試用期間中だから、3ヶ月目から社会保険に入れるようになる」と言われる場合は違法となります。
社会保険に加入させずに会社が受ける罰則は5つ!
3ヶ月目から加入義務のある社員が社会保険に未加入だった場合、違法となり会社が5つの罰則を受けることがあります。
- 追徴金を支払わなければならない
- 刑事罰をうける可能性がある
- 延滞金を支払わなければならない
- ハローワークに求人がだせなくなる
- 会社が保険料を全額支払う場合もある
調査で社会保険に加入する条件の社員をわざと加入さていなかった場合には、過去2年間に支払っていなかった分の保険料を全額まとめて支払う必要があります。
通常は会社と社員が半分ずつ支払う社会保険料ですが、未加入が発覚した場合には全額会社が立て替えをして支払います。
一度会社が全額支払ったあと、該当の社員の人から保険料の半分を支払ってもらうことはできます。
しかし、すでにその社員が退社している場合などには、すべて会社が費用を負担となることもあるのです。
また、何度も注意を受けていても改善されないなど悪質な企業の場合には、違法性が認められ6か月以下の懲役や50万円以下の罰金という刑事罰が課せられることもあります。
これは私が働いていた会社で実際にあったケースなのですが、社会保険加入対象のパート勤務の人が社会保険の加入手続きがされておらず、100万円を超える請求が会社にありました。
会社がダメージを受けるのは、手続きを忘れたからですが、労働者としても加入手続きがちゃんとされていないと受けられるはずの補償が受けられずに、困ってしまいますよね…。
社会保険に3ヶ月目から加入するアルバイトの条件
家族の扶養範囲内で働くなど、自分の決めた範囲内で働けるのがアルバイトやパートの魅力ですよね♪
アルバイトやパートで勤務する場合には、加入条件のすべてを満たさない限り社会保険の加入は必要ありません。
加入条件にかかわってくるのは、短期間の労働や賃金、勤務先の人数、学生の有無です。
3ヶ月目から社会保険に加入になるには、加入条件を2ヶ月連続で満たしてしまい3ヶ月目以降もその状態が続くと思われる場合のみとなります。
勤務先で、「社会保険に入らないなら自分でシフトを調整してね~」と声掛けされるのはこの条件を満たしてしまっているからなんですね…。
また、契約の内容や職種によっては、社会保険に加入したくてもできない場合もあるので確認が必要です。
社会保険に未加入で働くときは勤務時間と賃金に注意
2ヶ月以上の契約でアルバイトやパートタイムで勤務する場合、勤務時間や賃金、勤務先の人数や学生であるかによって社会保険に加入するのかしないのかが変わってきます。
- 従業員の人数が101人以上の企業で働いている
- 週の所定労働時間が20時間以上ある
- 月額賃金が8.8万円以上ある(交通費は含まない)
- 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない(学生でも例外あり)
これらの条件をすべて満たした場合は社会保険の加入が必要になります。
またフルタイムで働く場合の4分の3以上の勤務時間、日数を働く場合は入社日からの社会保険加入が必要です。
たまたま忙しくて1か月この条件を満たしてしまったんだけど、社会保険に加入が必要になるの?
その場合には、社会保険の加入の義務はありません。
2ヶ月連続で社会保険の加入条件を満たしてしまった場合で3ヶ月目からもその勤務状況が変わらない場合には、3ヶ月目からの社会保険の加入が必要になります。
扶養家族として、家族の保険に一緒に入っている場合や自分で国民健康保険料を払っている場合には、二重に保険料を払うことになってしまうので注意したいですね…。
社会保険の加入をしないで扶養範囲内で働くためには、労働の日数や時間を少なくしたり、いただくお給料の額をしっかりと計算しておくことが必要です。
しかし、年間の所得が103万の壁と呼ばれる103万円を超えてしまう場合には、無理に調整せずに社会保険に加入してしまう方が自分の負担が少なくなるかもしれません。
また、学生でも、条件によっては社会保険の加入が必要です。
- 卒業前にその会社に就職して、卒業後に同じ会社で働く場合
- 休学中に働く場合
- 高校の定時制や大学の夜間学部に通っている場合
上記の場合には、その他の条件を満たすと社会保険に加入が必要になるため、不要な場合は気をつけましょう。
入りたくても社会保険に加入できない場合もある
社会保険制度では例外的に、2カ月以内の期間で雇用する場合、日々雇用する場合、季節的業務に従事する場合は社会保険の適用外となっています。
具体的には、下記のような場合は社会保険に加入することができません。
- 日雇いのアルバイト
- 2ヶ月以内の短期アルバイト
- サーカスなど所在地が一定しない事業所でのアルバイト
- スキー場や海の家など季節限定で4ヶ月以内で働くアルバイト
- 展覧会などの臨時的事業の事業所で6ヶ月以内で働くアルバイト
ただし、契約の更新がある場合には社会保険の加入が可能になる場合もあります。
契約更新などが発生した場合には、勤務先に社会保険に加入が可能なのか確認しておくと安心ですよね♪
社会保険を3ヶ月目から適用?派遣社員の契約の注意点
派遣社員も正社員と同じように入社日に社会保険に加入することが多いのですが、契約によって社会保険の加入日が変わってきます。
企業によっては雇用契約書に2ヶ月以内の契約で更新がないことを記載して、初回契約を2ヶ月以内に調整し、更新となる3ヶ月目からの社会保険加入とする場合もあるようです。
雇用契約書の内容をしっかりと確認しておかないと、社会保険加入の時期がズレ、国民健康保険などで自己負担額が増えてしまう可能性もあるので注意が必要です。
正社員の4分の3以上の勤務時間勤務日数があり、初めの契約では2ヶ月以内を予定していても1日でも超える場合には社会保険の加入が義務付けられます。
そのためフルタイムで勤務をする場合には初月から加入することが必要になってきます。
また、派遣で働く場合にも月88,000円以上などの加入の条件はかわりません。
派遣社員でも社会保険が適用される場合
派遣社員でもアルバイトやパートタイム勤務の人と同じように以下の条件を満たすと社会保険の加入が必要になります。
- 従業員の人数が101人以上の企業で働いている
- 週の所定労働時間が20時間以上ある
- 月額賃金が8.8万円以上ある(交通費は含まない)
- 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない(学生でも例外あり)
フルタイム勤務で正社員の人と同じような時間や日数働く場合にはもちろん社会保険の加入が必要になります。
3ヶ月目からではなく、正社員と同様に入社日が社会保険の加入日となる場合ももちろんありますので、確認が必要になります。
社会保険の加入となるモデルケースを紹介
ここからは、派遣社員として働く場合に社会保険の加入となるモデルケースを紹介します。
この条件だと、正社員同様の勤務が見込まれ、4分の3以上の勤務日数時間という条件が適用となるため、3ヶ月目からの社会保険加入ではなく初めの月からの加入が必要になります。
この場合でも、残業などがあると条件によって社会保険加入が必要になります。
- 1月1日から1月31日 週20時間勤務 月88,000円以上の収入
- 2月1日から2月28日 週20時間勤務 月88,000円以上の収入
- 3月1日から3月31日 週20時間勤務 月88,000円以上の収入が見込まれる
このような勤務の状況だと、3ヶ月目から(3月1日から)の社会保険加入が必要になる場合があります。
これらの状況は、アルバイトやパートでも考えられますが、その場合にも社会保険への加入が必要になります。
まとめ
- 令和4年10月の改正により、原則として3ヶ月目からの社会保険加入では違法になる
- 正社員の4分の3以上の時間働くなら、社会保険の加入が必要
- 加入義務のある社員を社会保険に加入させないと会社側に違法性が認められ追徴金の納付が必要になったり、刑事罰を受けたりする可能性がある
- アルバイトやパートの場合に、2ヶ月連続で加入条件を満たしたら、3ヶ月目から社会保険の加入が必要になる
- 学生のアルバイトは原則社会保険の加入は必要ないが、休学中や定時制の学校に通っている場合には社会保険の加入が必要になる場合がある
- 例外的に、日雇いアルバイトや季節限定の仕事は社会保険の適用がされない
- 派遣社員は、正社員同様に入社日に社会保険加入になることが多いが、契約内容によって加入日が変化する
加入条件を満たしているのにも関わらず、3ヶ月目からも社会保険に加入できない場合には、違法性が高くなるので、地域の労働基準監督署に相談するのをオススメします。
扶養範囲内で働き続けるなど社会保険の加入を回避したい場合には、勤務条件を確認したり、自分でシフトを調整したりすることなどが必要になってきます。
もし、社会保険の加入を望まない場合には特にしっかりと確認しておきましょう。
しかし、社会保険に加入していると将来の年金額が高くなったり、保険料が安くなったりとメリットもあります。
これを機に、社会保険の加入となる条件まで勤務することを検討してみてはいかがでしょうか?
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