非加熱のはちみつは、ドロっとしていて琥珀色のような色味が印象的です。そして気泡や花粉などの粒子が見えることが多く、温度が下がると結晶化する特徴があります。
私自身、先日使ったはちみつがドロっとしていてコーヒーに溶けづらく、沈殿してしまったことがありました。
すぐ溶けるのが当たり前だと思っていたのですが、非加熱のオーガニックはちみつによく見られるものだと知りました。
実は一般的にスーパーで安く売られているのは加熱処理されたものがほとんどで、人工的に甘く加工したもの、香りや色を加工したものが多いんです。
見分け方を知らずに選んでしまうと、まんまと「偽物はちみつ」の落とし穴にはまってしまいますよ。
これから非加熱と加熱のはちみつの違いや特徴、見分け方をご紹介します。
はちみつにおける非加熱かどうかの見分け方
「非加熱はちみつ」と聞くとなんだか高級そうなイメージですが、価格の違いだけでなく、見た目なども異なります。
ではどんな見分け方があるのか、思い当たることを見ていきましょう。
- ドロッとしていて、粘度が高い
- 琥珀色に近く、透明感がない
- 結晶化しやすく、固まりやすい
- 価格がちょっとお高い
非加熱はちみつは、容器を傾けてもすぐには出てこないため、瓶に入っていることがほとんどです。
また、自然処理のため、花粉などの粒子が入っていることが多いです。酵素が働いて気泡が多く出ているのも非加熱ならではの特徴の一つです。
そしてブドウ糖の性質で白く固まり、結晶化します。コーヒーや紅茶に入れてもすぐには溶けにくく、底に沈殿しやすいです。
先ほど私は「コーヒーにはちみつを入れて飲んだ」とお話ししましたが、このときオーガニックの非加熱はちみつを食べた際、わかりやすくて強い甘味を感じなかったのです。
また、これまで使っていた安いはちみつと比べると、口に入れた時のえぐみも感じませんでした。「これが本来のはちみつなのだな」と知る、いい機会になりました。
国産なら「純粋はちみつ」の中から生産者に注目する
国産から選ぶなら、「はちみつ」または「純粋はちみつ」と表記されているものは、基本的にミツバチが作ったはちみつそのままの状態を指します。
その中で非加熱かを判断するには、生産者(製造元)の情報を調べること、生産者の意図を知ることが手がかかりの一つです。
生産者が「効率」を求めず、手間暇をかけてじっくり生産していれば、「温度をかけるにしても50℃くらいまで」と知っているはずです。
「はちみつ作り」に対して愛やこだわりが見える純粋はちみつが、最も非加熱のはちみつである可能性が高いのですね。
非加熱のはちみつに期待できる効果とは?
栄養素が壊れていない「非加熱のはちみつ」は、適量摂取しているとこんな効果を期待できそうですよ。
- 腸内環境が整う
- 疲労回復
- エネルギー摂取が簡単にできる
- 殺菌効果があり、菌の繁殖も抑える
元々はちみつには「オリゴ糖」や「グルコン酸」が多く含まれています。これらが腸内の善玉菌を増やして、悪玉菌の増殖を抑制してくれるため、便秘に良いともされています。
そして、酵素などの栄養分が免疫力の向上にもつながりそうです。これは60℃以上の加熱で破壊されてしまうので、非加熱の状態で摂取すると疲労回復の期待もできます。
また、はちみつの栄養源の8割ほどを占めている「ブドウ糖・果糖」はすぐ体に吸収できるため、速やかなエネルギー補給ができます。
美容や美肌効果も期待できるので、まさにスーパーフードですね。
さらに喉の痛みや口内炎の症状がある際にも効果が感じられ、殺菌効果も期待できます。
はちみつ飴が分かりやすい例ですよね。私も喉が痛い時にはちみつを飴の代わりにしたり、はちみつレモンを食べることがあります。
はちみつが喉に膜を張ってくれるようなイメージで、喉の保湿に効果的でした。
非加熱でじっくり手間暇かけて丁寧に作られたはちみつは、本来のはちみつが持つ栄養価をそのまま閉じ込めたものです。
特に健康面を考えて選ぶなら、栄養素が詰まった非加熱のはちみつが有利ですね!非加熱のはちみつを選ぶことで、はちみつが本来持つ酵素の効果を存分に楽しむことが出来ますよ。
新見出し はちみつは「非加熱」よりも「作り方」を見て選ぶ!
ミツバチ本来の力で熟成された非加熱のはちみつはドロっとしていて、瓶詰めする際に手間暇がかかります。また、フィルターを通して詰める際にも異物混入の可能性が高まります。
そこで、ほとんどのはちみつ生産者は「はちみつの成分が壊れる温度、60℃前後」よりも少し低い50℃くらいのお湯で湯煎して、サラサラにした状態でろ過や瓶詰めを行っています。
これは、「非加熱」と書いてある生産者もやっている世界共通の作業で、生産者にとっては「50℃くらいの湯煎=温める」と認識していて、「加熱」とは思っていないようです。
しかし私が今回調べていて思ったことは、「まったく熱を加えない非加熱なのか?」よりも、「はちみつ本来の作り方を守っているのか?」にこだわったほうがいいと思いました。
実は、通常の店舗で出回っているはちみつの多くが「加糖はちみつ」「精製はちみつ」と呼ばれるものであり、本来のはちみつの作り方で加工されていません。
なので「非加熱を選ぶ」というよりは、「加糖はちみつ・精製はちみつを避ける」をしたほうがいいと思います。
「加糖はちみつ」は文字のごとく、はちみつに水飴や砂糖などの人工甘味料を加えたものを指します。甘みや見た目は本来のはちみつと似ていますが、栄養面は全く異なる別物です。
また、「精製はちみつ」は、匂いや色、栄養成分が除かれた甘味料を指します。はちみつ本来の栄養素はないですが、加工食品に使用するため精製されます。
どちらも「加糖はちみつ」「精製はちみつ」と記載されているので、すぐ見分けがつくと思います。
スーパーでよく出回っているのは「加糖はちみつ」または人工甘味料が多く入っている「はちみつ加工食品」が多いですね。
先ほど「非加熱はちみつに期待が持てる効果」を紹介しましたが、はちみつを生産する段階で加熱処理してしまうとこれらの効果がまるでなく、健康食品としては全くの別物なのです。
どうして効率を重視したはちみつばかりが出回っているの?
それは、世界で一般的な「本物のはちみつ」の作り方ではあまりにも時間がかかりすぎるためです。「大量に生産してたくさん売りたい」という、企業側の「欲」が出たんですね。
世界で一般的な「本物のはちみつ」は、ミツバチが花の蜜を吸って、巣に持ち帰り、ミツバチの羽で水分を飛ばします。そしてミツロウで蓋をして時間をかけて熟成させます。
そして十分に熟成したはちみつを、圧搾してフィルターを通して瓶などに詰めて販売されています。
しかし、花の蜜であまり甘くない状態(糖度20%くらい)から、ミツバチの力で密が甘くなる(糖度80%前後)までには、時間がかかります。
そして、少量しか採取出来ない上に、手間暇が掛かるため、高単価のものが多いのです。
そこで、より多くのはちみつを生産するためには、まだ熟成されていない状態のはちみつを採集して、人間の手で煮詰めて糖度を上げるのです。
完全に熟成されていないはちみつは、まだ水分が残っており、サラサラしています。それを人間の手で煮詰めることにより、水分を飛ばし、水飴などを加えながら加熱していくのです。
この時点で加熱されたものは本来のはちみつとは大きく異なり、単なる甘味料にすぎない製品が完成するのですね。
加糖・精製はちみつの見分け方は?
「本物のはちみつ」でない、加糖・精製はちみつの特徴は、透明感がありサラっとしています。
異物感も見られないために一見キレイな印象があるかもしれないですが、さまざまな加工・人の手が加わって出来ていることを知ったら納得しますよね。
また、傾けるとすぐ流れてくるのでチューブ型の容器に入っていることが多いです。スーパーなどでよく見かけるのもチューブ型で押すとすぐに出てくるタイプが多いですよね。
そしてこれは一概には言えませんが、比較的安価で売られている場合が多いです。
これは、「本物のはちみつ」と比べると手間暇がかかっていない上により多くのはちみつを生産出来るためです。
本当に熱を加えていないはちみつは売りにくい
すべてのはちみつ生産者が、はちみつに湯煎をかけるのはろ過処理をするときにゴミを落としやすくする、結晶化しにくくするためです。
すべてははちみつを売りやすくするために行う、作業の一環なのですね。
はちみつは、採集したばかりの段階ではいろんな不純物やゴミが混ざっています。
蜜花の花粉くらいならまだいいですが、中にはミツバチの羽根や体の一部が混ざってしまいます。
採取したばかり糖度が高くて粘り気をもち、ねっとりとしたままの状態では不純物を取り除きにくいです。
そのため、だいたい40~50℃程度の湯煎にかけて、はちみつをあたためて粘り気をゆるくするのです。
たとえ「非加熱」と書いてあっても、ミツバチの身体の一部を容器内に見つけてしまったら気持ち悪く感じ、生産者に苦情を入れたくなりますよね。
また、少しあたためると結晶化もしにくくなります。もし「非加熱」と書いてあったとしても中身がカチカチに結晶化していたら、選ぶのをためらってしまいますよね。
そのため、室温を高めに保っていれば容器から出したときでもとろとろなはちみつを楽しめるんです。
ろ過処理すらしていない商品なら「巣はちみつ」がある!
「巣はちみつ」とは、蜜蜂が巣に貯めた巣ごとを切り取ったそのままのはちみつを指します。
通常のはちみつははちみつのみを取り除きますが、巣ごと切り取ってまったく加工をしていない場合はろ過すらしません。50度近くまで温められず、フレッシュな状態を楽しめます。
まさに蜜蜂が作ったはちみつの巣ごとを食べるので、栄養価はかなり高いです。ミツロウが口に残るかもしれませんが、そのまま食べても問題ありません。
そんな巣はちみつを加えたはちみつは、「巣はちみつ入りはちみつ」と記載されています。
液体はちみつに「巣はちみつ」が漬けてありますが、周りの液体はちみつはろ過するために温めてはいると思います。こだわるなら、「巣はちみつ」そのものを購入しましょう。
口触りが苦手でなければ、あなたのお気に入りはちみつの一品に加わりますよ♪
非加熱はちみつと表示されている商品が少ない理由
そもそもスーパーや店舗で販売されているはちみつは、「非加熱」という表示はほとんどされていないのです。
だからこそ「見分け方を知って、本物のはちみつを見極めたい」と思いますよね。
実は、はちみつ業界の中では「非加熱はちみつはこうでなければいけない」という基準がないのです。
生産者の言葉次第で、「これは〇〇だから非加熱です」と言ってしまえば、「非加熱はちみつ」として出回るのです。
先ほど説明した「加糖はちみつ」「精製はちみつ」というものは、日本にしか出回っておらず、世界各国では「本物の作り方で生産されている、本物のはちみつ」しか存在しません。
そしてその製法を守り抜くために、「はちみつとはどんなものか」「どう作るのか」などという基準が日本よりも厳しいです。
中でもEUの国では基準が厳しいですが、特にドイツでは「はちみつ純正法」という規定もあり、湯煎する温度・酵素の含有量などまで細かく決められています。
また、マヌカハニーは100%ニュージーランド産で作られています。これも厳しい規格のもとで製造されています。
しかし、日本国内では海外と比べるとはちみつの歴史も浅く、海外よりもはるかに規定が緩いです。
その中でも、作業効率を重視する業者が増えていき、本来の作り方でない「加糖はちみつ」「精製はちみつ」などが多く出回ってきました。
はちみつの種類がこんなにも増えてしまったのはこのためです。
そして、「偽物のはちみつ」と「本物のはちみつ」が混ざってしまうと、安い方が手に取られやすくなります。
せっかくいいものを作っているのに、本物のはちみつが偽物に負けて売れなくなりますよね。
そのため、「非加熱はちみつ」「生はちみつ」といったようなフレーズを発信し始めたのです。
加工のために50℃前後の湯煎で温めている生産者が「非加熱」とアピールすると、「えっ、50℃で湯煎をかけているなら加熱しているじゃない!」と誤解を生んでしまうのですね。
「非加熱」という言葉の由来は宝石業界から来ている
ではどこから「非加熱」という言葉が出て来たのかというと、実は宝石業界なのです。
宝石は見た目を良くするため、曇っている色味を明るくするために、よく加工処理を施します。その中に「加熱処理」という方法もあるのです。
宝石を求める人の中では、「確かに処理をしたものは加熱をした方が美しいけど、何も加工されていない原石のままの方がいい」という方が一定数います。
なので、宝石の一部コレクターからは「加熱処理」されたものよりも「処理を施していない=非加熱」のものの方がウケがいいんです。
確かに、加熱をしなくても美しい色味が出ているなら、そっちの方がいいですよね。ただし値段はビックリするくらいに跳ね上がりそうです(笑)
そこに養蜂業の生産者たちは「非加熱」という言葉に目を付け、自分のはちみつを売る時に付け始めたのでしょう。
そして「非加熱」という基準がないまま、どのはちみつ生産者も使うようになってしまったのです。
非加熱はちみつをスーパーで買うなら成城石井とカルディ!
ここからはスーパーで買える非加熱のはちみつの商品をご紹介します。
1点目は、成城石井で販売されている「ヒマラヤンアカシア純粋蜂蜜」です。
比較的安価で手に入るこちらのはちみつですが、手を汚さず使える使い勝手も含めて人気の商品です。
はちみつらしい琥珀色がキレイで、クセも少ないので、そのまま食べても美味ですよ♪
2点目は「エコチャージジャパンのキルギスの白いはちみつ」です。よくイオンモールなどの複合施設内で外国産食品を扱っている、「カルディ」というスーパーの中で販売されています。
瓶に入っており、「純粋はちみつ」と記載があるこちらの商品は、色味がイメージするはちみつと比べると白いため、「おや」と敬遠されがちです。
しかしブドウ糖の酵素の影響なので、安心して召し上がっていただけます。
「白いはちみつ」はあまり見かけないので珍しそうですが、他のはちみつでは味わえないまろやかさが特徴的で、リピーターも多いのです♪
「カルディ」以外でも販売されているらしいので、自然食品店やちょっとリッチなスーパーに出かけた時にはチェックしてみましょう。もし店頭に並んでいたらラッキーですよ♪
まとめ
- 非加熱のはちみつは、「ドロっとしている」「琥珀色のような色味」「気泡や花粉などの粒子が見える」「結晶化する」などが挙げられる
- 生産者がどのように作っているのかを注目すると、非加熱かも見分けやすい
- はちみつを見分けるときは、「非加熱か?」よりも「加糖はちみつ」「精製はちみつ」を避けるよう考えた方がいい
- 日本国内では、手間暇がかかりにくいよう本来のはちみつとは異なる作り方で、「加糖はちみつ」「精製はちみつ」を生産し、たくさん出回っている
- 「加糖はちみつ」「精製はちみつ」は、栄養価が損なわれ、水飴などで甘みを足していることで全く別物の甘味料になってしまっている
- もしなにも熱を加えずにはちみつを作る場合、ろ過ができないのでゴミや不純物が入ったままになり、固まりやすくなる
- それでも何の熱も加えていないはちみつを求めるなら、ハチの巣から取り出したままの「巣はちみつ」がおすすめ
- 「非加熱」と書いてある商品が少ないのは、そもそも日本でははちみつに関する基準が緩く、「非加熱とは~」という基準も設けられていないから
- 「非加熱」という概念は、宝石業界からきている
- スーパーで非加熱はちみつを求めるなら、「成城石井」と「カルディ」でおすすめ商品がある
今まで「価格が安いから」と手にしてきたはちみつは、本来のはちみつだったでしょうか。
単なる価格や見た目だけに左右されず、その背景にある事実を頭の片隅において商品を選んでいきましょう。
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