ピアスはピアッサーなどで簡単に開けられますが、初めて「耳に穴を貫通させる」と考えたときにはちょっと怖いですよね。
費用が安く抑えられるピアススタジオは、ピアスに関する知識を持っていそうで安心もできそうなイメージです。
しかし、実はピアススタジオの多くは違法営業なのです。
知識の浅い違法営業しているピアススタジオに当たってしまうと、あとから耳に関するトラブルに見舞われてしまいます。
なぜピアススタジオでの穴開けが違法なのか、そして医療機関をオススメする理由をご紹介します。
結論から言うと、ピアスを開けるのは病院やクリニックなど、医療機関が安心・安全なのでおススメです。
ピアススタジオは違法といわれる理由は?
街中にはたくさんのピアススタジオがあります。「ピアスに関する専門的な知識や技術」を謳い文句に、安く、気軽にピアスを開けられるとお客さんを集めています。
しかし、医師や看護師以外の人、かつ医療機関以外で他人の耳に穴を空けるという行為は、医師法違反で違法となります。
「ピアスで体の一部に穴を空ける」という行為は、「身体の皮膚や組織を傷つける」とみなされます。
この行為は日本の法律上は医療行為と見なされていて、医師のみに許可されています。
私、人にピアスの穴開けるのが好きなんだ♪
もし開けたくなったらいつでも言って!
お友達に頼んでおうちで開けてもらうのも、厳密には違法にあたります。
ピアスホールを開けてもらうことは、医師や看護師など、医療行為を許された人しかできないのです。
違法なのに黙認されている理由は、スタジオ側の過信!
ピアススタジオの多くは違法状態が黙認されているのが実態です。
えっ、違法なのにどうして野放しになっているの?
その理由は、ピアススタジオの運営者が「自分たちは病院や医療機関よりも耳の穴あけが上手だ」と過信してしまっているからです。
ピアススタジオでピアッシングしてもらったとき、万が一耳に異変が出てしまった人は、ピアススタジオではなく病院などの医療機関を受診します。
なぜなら、ピアススタジオではトラブルが発生した場合、治療ができないからです。
自分たちが起こしたトラブルに対して責任が追えないのです。麻酔やアフターフォローなどのサービスもありません。
異変が起きて病院に行ったら、ピアススタジオには「自分たちがピアッシングした人に異変が起きている」ことに気が付きません。
そのため、スタジオの人たちは「自分たちのピアッシングは何のトラブルも起こしていない」と勘違いしてしまい、営業を続けることになるのです。
異変が現れたお客様はスタジオへ何も言わないことが多いため、本当はトラブルが起きているのにもかかわらず本人たちは気が付きません。すると、また次の犠牲者が出てしまうのです。
ピアススタジオが逮捕された事例とは?
しばらく前のことですが、ピアスの穴開けを専門としていたピアススタジオのオーナーたちが、医師法違反と薬事法違反で逮捕された例があります。
男性客の耳にピアスの穴を空けた後、出血が止まなくなり、病院へ運ばれたそうです。
この件は、このお客さんが被害届を出したことで摘発されました。
表だった事件にはならなくても、ピアスを開けた後、耳に異変が現れた人は多いのです。
ピアススタジオで起きるトラブルとは?
ピアスは身体に穴を空ける行為ですから、組織が傷を受けたことで、直後や後日にトラブルが起こることがあります。
ピアスを開けた後に見られる代表的なトラブルです。
- ピアスの穴の周りが痛い・腫れる
- 細菌に感染する
- 金属アレルギーになる
まず、ピアス穴の周りが痛い・腫れるピアスを開けた後、数日間は痛みや腫れがあっても正常な反応と言えるでしょう。
腫れている箇所を冷やすことで落ち着いてきます。しかし、痛みや腫れが続く期間には個人差があります。
長引く場合は炎症が起きている可能性がありますので、医療機関で診てもらいましょう。
そしてピアスの穴は、れっきとした傷口です。清潔さが保てていなかったり、あるいは、身体の免疫力が下がって抵抗力が弱くなっていると、細菌に感染して炎症を起こししまうことがあります。
腫れて熱を持っていたり、膿や分泌物が出たりするなどの症状が現れます。
医療機関で適切な処置を行い、状況によっては抗生物質を処方してもらうことで治まります。
金属アレルギーも、怖いよね。
そう、もう一つ問題なのが「金属アレルギー」です。人間の身体の自己免疫機能が、皮膚に触れた金属を異物と判断して攻撃して、アレルギー症状を引き起こします。
金属が触れた箇所が赤くなったり、ぶつぶつや水ぶくれができて、時にはかゆみも伴います。
これはすぐに現れなくても、ある日突然発症します。また、一度発症してしまうと、ほとんど完治しません。
特に皮膚が弱い自覚のある方は、あらかじめ医師に相談して、自分に合う金属を特定してもらうといいでしょう。
数日経っても耳に痛み、かゆみ、赤みが残っているようなら、早めに医療機関を受診しましょう。
ピアススタジオでの穴開けをするリスクは?
違法なスタジオでピアスを開ける場合の代表的なリスクは次の通りです。
- 衛生対策が不十分
- 知識・技術の不足
- 感染症対策ができない
身体に穴を空けるのですから、器具の管理には注射針と同じくらいの衛生面で注意しなければなりません。
医療用の器具や機器を使用していない場合、滅菌が不十分で、化膿などトラブルの原因となる可能性が高まります。
どこにどのように穴を開けるのか、しっかり見極めるには、解剖学的な知識や技術が必要です。
不足していると、血管や神経を傷つけてしまう可能性があります。
また、金属アレルギー、化膿、かぶれなどのトラブルがあっても、医学的知識がないときちんと対処しきれません。
他人に使ったニードルを再使用することで、B型肝炎、C型肝炎、AIDSなど、危険な感染症を引き起こす可能性があります。
ショップやスタジオによって、衛生管理面でのレベルに差があります。
ひどいところでは、ニードルの使い回しをしているところがあります。
医療機関で開けてもらったほうがトラブルも少ない
ピアスを開けるのは、クリニックや病院など、医療機関でおこなってもらうのが安全で安心できます。
基本的には、皮膚科、形成外科、美容外科などが対応してくれます。医療機関なら、このようなフォローをしてくれるところが多いです。
- 事前に不要なトラブルを避けられる
- 衛生的で安心
- しっかりとしたアフターケア
- 痛み・恐怖対策ができる
実は、すべての人が問題なくピアスを開けられるわけではありません。体質や生活環境がトラブルの原因となり得るケースがあります。
そんな中、医療行為を許された人にお願いができれば安心ですね。
また、医療機器として十分に滅菌したツールが使われるなど、衛生面・安全面で十分に配慮されています。
ピアスを開けた後、ピアスホールが安定するには数ヶ月かかります。その間のケアの仕方をしっかり指導してもらえます。
もし、化膿、かぶれ、金属アレルギーなどのトラブルが起こっても、すぐに対処してもらえます。
そして、クリニックによっては麻酔を使ったり痛み止めを処方するなど、痛みや恐怖に対する処置をおこなってもらえます。
金属アレルギー、アトピー性皮膚炎の程度や服用している薬を確かめるなど、医学的な知識に基づいてお手入れ方法やアフターケアのアドバイスしてくれますよ。
処置やアフターフォローを徹底管理するピアッサー団体とは?
ここまで違法なピアススタジオに関して説明してきましたが、すべてのピアススタジオが違法で悪いという考えは間違いです。
中でも、「一般社団法人日本プロフェッショナルピアッサーズ協会」という団体があります。
この団体は、ピアッシング行為を安全に受けてもらうことを目的とした団体です。
協会規約には、施術者がピアッシングを受ける人に対して「スタジオ内の衛生管理」「滅菌物やグローブ、備品の管理」「使用済み備品の廃棄」など、細かい規約が定められています。
ちなみにこの団体は日本赤十字社へ寄付をしたこともあります。
さらに「MEDIC First Aid(通称MFA)」という、アメリカ発祥の応急救護の手当て訓練プログラムを受講したこともあります。
医療に対して関心が深いこともうかがえますね。
確かに「身体に穴を空ける」という行為は医療行為として扱われるため、このような団体に加盟していたとしても「違法である」と扱われるかもしれません。
しかしきちんとピアッシングに関する知識やこだわりを持ったピアススタジオなら、何かトラブルが起こっても親身に対応してくれるので、安心してピアッシングをお任せできますね!
ボディピアス店とコラボレーションした病院とは?
以前は、医師には医学的知識はあってもピアスの知識がないとして、医療機関でのピアス開けは敬遠されてきました。
しかし最近では医療機関と提携しているピアススタジオやショップが多くなりました。
中でもピアススタジオとコラボレーションしている病院があります。「マグノリア皮膚科クリニック」です。
こことコラボレーションを組んでいるとあるボディーピアスショップのオーナーさんからの依頼が、このコラボレーションの始まりです。
このオーナーさんはボディピアスの店舗をオープンさせる予定で、「自分のお店とコラボレーションを組んで、お客さんのピアスを開けてほしい」とお願いしてこられました。
そして、すでにたくさんピアスが付いている自身の耳にピアスを空けてもらうことで、女医さんの技術を確認して、「ここしかない」と確信し、コラボレーションに至りました。
よく医療機関では「オシャレなファーストピアスを選べない」「希望通りの場所に開けてもらえなかった」などの不満が見られました。
しかし、この女医さんが勤めるクリニックだけではありません。ピアスについて勉強し理解を深めている医師や医療機関も増えています。
自分の好みに合ったピアスを見つけ、安心・安全にピアスを開けてもらえれば、それがベストですね。
まとめ
- 日本では、医師免許なしで他人にピアスを開けるのは違法行為である
- 違法で悪質なピアススタジオがなくならない理由は、スタジオ側にクレームが入りにくいから
- ピアススタジオは血が出た場合などの治療ができないため、患者はスタジオではなく病院へ駆け込むしかない
- ピアススタジオの処置で起きるトラブルは、ピアスの穴周りの炎症、細菌感染、金属アレルギーが多い
- 医療機関で開けてもらうとトラブルが少ない
- 医療機関ではないが、処置を徹底的に管理しているピアススタジオ団体がある
- ピアス専門店とコラボレーションした病院もある
最近は、ピアスを勉強している医師や、医療機関と提携しているピアスショップやスタジオが増えてきています。
信頼できるところを選んで、安心・安全にピアスを開け、オシャレを楽しんでくださいね。
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