初めて海外旅行へ行くとき、まずはスーツケースの準備をしますよね。
日本でよく見かけるスーツケースは、アルミニウム合金や樹脂で作られたタイプ(ハードケース)です。
しかし、ポリエステルやナイロンで作られた、布製スーツケース(ソフトケース)もあるのです。
ただ、水濡れやセキュリティ面の不安もあるためか、日本では需要が低いです。
布製スーツケースの大きなメリットはパッキングのしやすさです。
スーツケースの中に荷物をポンポン詰め込める手軽さ、大きな中身も簡単に入るところが人気の秘密です。このメリットは、日本よりも海外の人から支持されています。
今回は、布製スーツケースのメリットを一気に紹介していきます。
布製スーツケースのメリットはパッキングのしやすさ

私が思う一番のメリットは、中身の大きさを選ばず上手にパッキングできることです。これには、布製スーツケースならではの特徴「一気室」が関係しています。
布製スーツケース(ソフトケース)の場合は、片側からファスナーを開けるタイプ(一気室)が多いです。
一気室は、スーツケース内部に部屋が一つしかありません。中身はごちゃごちゃになりやすいですが、二つ開きのスーツケースでパッキングに困るような大きな中身も入れやすいのです。

「パッキングに困る」ってどういうこと?
多くのスーツケースは、真ん中から二つ開きになっています。二つ開きだと、部屋が片側ずつ仕切られています。
整理整頓には便利ですが、この部屋よりも分厚い荷物を入れたいときにはパッキングが難しいです。
たとえば、お土産に大容量のお菓子や食品を買ってしまうと、スーツケースにはパッキングできないのです。
もし現地で話題のインスタントラーメンを持って帰りたいとしても、二つ開きの部屋に無理やり詰めこむと、麺が粉々になってしまいます。
しかし、一気室の布製スーツケースなら、インスタントラーメンも形を崩さずにそのままパッキングできます。
また、一気室のスーツケースは片側を開くだけのタイプが多いです。そのため、パッキングするときのスペースも取りません。
二つ開きの場合、一度スーツケースを床に置いて開きます。
空港やホテルで荷物の中からなにかをさがすとき、スーツケースを二つ開きにしてモノを探さなければなりません。通行人から中身が丸見えになり、ちょっと恥ずかしいですね。
しかし、一気室のスーツケースなら空港の端っこで目立たないように開けることができるため、スマートに探し物ができます。
外ポケット付きなら収納力も上がる
もう1つ収納性でメリットを挙げるなら、ほとんどの布製スーツケースには外側にポケットが付いています。
布製以外の場合、外観は樹脂やアルミニウム合金など、硬い素材でできています。「ハードケース」とも呼ばれます。
内側にポケットはあっても、外側には小物収納がありません。
ポケットが付いていれば、チケットや現地の地図、飲み物や小さなお菓子などを入れられます。手荷物もかさばらず、スマートに旅行を楽しめますよ。
パツパツにふくらめば中身をより多く詰められる
布製とハードケースでもう1点違うのは、パツパツに荷物を詰めた時にスーツケース自体がふくらむかどうかです。
外観がアルミニウム合金や樹脂でできているようなハードケースは、それ以上のふくらみは見込めません。
しかし布製の場合は、なんとかぎゅうぎゅうに詰め込んでファスナーを閉めてしまえば、少しふくらんだ状態でなんとか詰め込めます。
渡航者の中には、渡航目的が「観光」ではなく「お土産調達」の人もいます。
お土産が目的の人は、最初スーツケースの中身をスカスカにしておいて、お土産で中身がパンパンの状態にして帰ってくるのだとか。
お土産を買いすぎて、スーツケースの布が多少パツパツの状態であっても、ファスナーさえ閉まっていれば持って帰れます。
また、「荷物が増える」と最初から分かっているなら、マチを増やせられる「エキスパンダブル機能」が付いたスーツケースを使うのもアリです。
製品にもよりますが、もともと容量が大きなスーツケースならこの機能で10リットルくらい増えるのです。
マチを増やして横幅を少し広げれば、容量が増えます。行きはマチを閉じておいて帰りはマチを増やせば、もっとお土産をたくさん買えますよ。
スーツケースにこだわらなければデザイン性が豊富
「スーツケース」といえば、長方形でコロコロ付きの旅行用ケースが真っ先に思い浮かびます。
布製のスーツケースも似たような形ですが、同じコロコロ付きの旅行用バッグなら「布製キャリーケース」もおすすめです。デザイン、形、種類もたくさんあります。
たとえば私が便利そうだと思ったのは、「2WAY」「3WAY」と形が変わるタイプです。
ボストンバッグ、リュックサック、ショルダーバッグとして使えれば、階段が多いところでも持ち運びしやすくなります。
昔私がよく出張へ行っていたとき、ナイロンのキャリーケースを持って来ている先輩がいました。「スーツケースじゃない!」と驚きましたが、移動がすごく楽そうでした。
特に、新幹線へ向かう途中の階段では、ショルダーバッグに形を変えていたのです。
スーツケースを持っていた私は、バランスを取りながら一段ずつ上り下りをしていたため、すごく重かったです。今考えると、ナイロン製のキャリーバッグも悪くないですね。
また、折り畳みができる布製スーツケースもあります。旅行へ行かない間はクローゼットの中へ収納しますが、折り畳みができると場所を取らずスッキリ収納できます。
ハードケースは小さくならないので、どうしても場所を取るんですよね。この記事を書いていて、布製キャリーバッグに買い替えたくなってきました(笑)
布製スーツケースは軽量なものが多い

硬い素材でできていると、どうしても「重いのでは?」と印象が付きます。対して布製は「薄そう」「軽そう」などと思いますよね。
私も気になって、いろんなスーツケースを調べてみました。その結果、「どちらかというと」、布製スーツケースは軽い製品が多い…という印象です。
ハードケースの種類には、大きく「ポリカーボネイト」「ABS樹脂」「アルミニウム合金」の3つに分けられます。
アルミニウム合金はその名のとおり金属でできているため、重いです。しかし、「ポリカーボネート」「ABS樹脂」はプラスチック製でアルミニウム合金よりは軽いです。
それと比べて、布製スーツケース(ソフトケース)の多くはポリエステルやナイロン製です。
一見軽そうに見えますが、弱点は強度の低さです。横に倒れたり落下したり、外から衝撃が加わると、中身が破損しやすいのです。
そのため、クッション加工やプラスチックガードを施して強度を高めている製品もあります。布の裏側に防水加工を施したものもあります。
その結果、布製スーツケースであっても、軽量化されたハードケースと同じくらいの重量だったりするのです。
ただし、軽いスーツケースを探したときに「布製」が多く出てくることは間違いないです。
1~2泊程度の小旅行、または大型旅行時のサブバッグやお土産用のバッグとして使うには、小さめサイズが重宝しますよ。
布製スーツケースが海外で主流な理由

日本人、または日本国内では、どちらかというとハードケースを持っている人が多いです。
しかし、海外では布製スーツケースの方が主流なのです。実際に空港に行くと、外国人の多くは布製スーツケースを持っています。
先ほども説明しましたが、布製スーツケースは一気室です。
二つ開きのように「こっち側に衣類を入れて…。」のように整理整頓をあまり考えず、気軽にパッキングできるのが魅力なのですね。
これは余談ですが、最近「国際空港の動植物検疫所に密着!」という特集ニュースを見ていました。
外国人が知らずに持ち込んでしまった食品が「日本にはない病原菌が付着している可能性があるため、持ち込み禁止」と没収されてしまう、少し良心が痛むニュースです。
このとき、外国人の皆さんが持っていたスーツケースは半数くらいが布製の一気室タイプでした。中には、牛肉料理を鍋いっぱいに作って、その鍋ごと入れている人も…。
「パッキングに時間をかけたくない」という人にとっては、一気室タイプのスーツケースが使いやすいのですね。
セキュリティ面の不安はハードケースと同じ

スーツケースが布製だと、ナイフで簡単に切られちゃうんじゃない?
貴重品は手荷物に入れるけど。
たしかに、布製だとナイフで簡単に切れます。治安が悪い場所にいつの間にか入ってしまうと、盗難にあうのではと心配ですよね。
ぶっちゃけると、盗難のリスクはハードケースでも同じです。
ハードケースも壊そうと思えば簡単に壊せます。ファスナー部分も布なので、そこをナイフで切るだけなのです。
それに、どちらかというとスーツケースの盗難は、中身を抜かれるよりも、スーツケースごと持っていかれることが多いのです。
トイレに行っている間や、誰かに道を尋ねている間など、「ちょっと目を離した間に荷物がなくなっていた!」という事例が多いのです。
ただ、簡単にファスナーを開けられないよう「TSAロック」付きのカギや南京錠付きの製品を選びましょう。
「TSAロック」とは、アメリカの米国運輸保安庁(TSA)職員だけが開けられるロックのことです。
空港内で荷物検査をするとき、TSA職員が中身を見なければいけないと判断した場合のみ、マスターキーでカギを開けます。
一般人が開けられないような鍵付きだと、旅行も少し安心です。あとは荷物から目を離さなければOKです。
布製だから水に弱いわけでもない

旅行中に雨が降ってきたら、ずぶ濡れになるわよね。
スーツケースも布製だったら、雨水が中身にまでしみこむんじゃない?
布の裏地には、PUやPVCのような合成皮革、そしてEVA樹脂素材をラミネートコーティングしています。
合成皮革はウレタン樹脂をフィルム状にして貼り付けてあるため、水や雨をはじきやすいです。
また、EVA樹脂素材も水耐性があるため、スーツケース以外にも水回り製品で使われています。
私は、先ほど「布製スーツケースはハードケースと比べると強度が弱い」とお話ししましたよね。その強度を高めるためにも、このような裏地加工を施しているのです。
まとめ

- 布製スーツケース(ソフトケース)は片側からファスナーをあける「一気室」タイプが多い
- 大きなものを入れるとき、二つ開きのスーツケースだとパッキングが難しくても、布製スーツケースなら簡単に詰められる
- ほとんどの布製スーツケースには外ポケットが付いているため、収納力も高い
- 多少荷物が増えても、布製スーツケースならパツパツに詰めてなんとかファスナーを閉められる
- 布製なら、折り畳みスーツケースや、ボストンバッグやリュックサックなどに形が変わる「キャリーバッグ」もある
- 布製スーツケースは軽量なものも多いが、企業努力によりハードケースにも軽量なものはある
- 布製スーツケースは、日本よりも、整理整頓をあまり気にしないような海外で人気がある
- セキュリティ面や水濡れの心配は、ハードケースも同じ
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