自分の声を自分で聞くことって少ないですよね。カラオケも、自分は上手に歌っているつもりでも、聞き手からすると「下手」に聞こえていることもよくあります。
私も友人とよくカラオケへ行きますが、採点では「こぶし」判定が50回以上という異常値が出るのに、歌っていると途中でいきなり裏声にひっくり返っています。
知っている歌で裏声が多いとビックリしますし、正直に言うと「あんまり上手じゃないな…。」「キーが高い歌は好きなんだろうけど、下手なのかな?」と思ってしまいます。
しかし、「こぶし」が多いのに下手に聞こえてしまう原因は、採点機能の誤判定にありました。
なんとカラオケの採点機能によっては、声の裏返りや音程のブレまで「こぶし」と誤判定してしまうのです。
今回は、声の裏返りを克服する方法や、こぶしのパターンも解説していきます。聞き手が「下手だな~」と思ってしまうようなクセが多いなら直して、聞き手と一緒にカラオケを楽しみましょう♪
カラオケでこぶしが多いのに下手な気がする…
そもそも「こぶし」は、歌に力強さを出すための表現方法です。そのため、「こぶし」が多ければ多いほど、採点機能としては「表現力が高い!」と高評価をつけるのです。
しかし、勝手に採点で「こぶし」判定がされる場合は、その部分で一瞬だけ声が裏返り、音程がブレてしまっています。そのため、聞き手には「下手」に聞こえてしまうのです。
声が裏返ると、一瞬だけ音程が高くなってしまいます。特に、叫ぶような歌い方をしている曲や、低い音程から一気に高い音程に変わるときが多いです。
「こぶし」といえば演歌に使われる表現方法ですが、Jpopでは、一瞬声を裏返して元に戻す表現方法も「こぶし」と呼ばれます。
そのため、歌い方のクセで声が裏返ってしまったときに採点機能が「こぶしだ!」と高評価を付けても、聞いている人には「音程がズレたんじゃない?」と違和感が残るのです。
先日、私の友人が送迎会でカラオケを歌うことになりました。
友人はとても緊張してしまい、声が震えたり裏返ったりして、音程もズレまくるという「負のループ」にハマってしまったのです。しかし、下手なわりには「こぶし」判定が多いのです。
周りの人からは「うまいわけじゃないのに、なんでこぶし判定がいっぱい出ているの?」と何とも言えない目を向けられてしまい、見ている私も悲しくなりました。
歌い方のクセが強すぎると、聞いている人からすれば下手に聞こえます。しかしそれを「表現力が高い!」と判定されると、気まずいですね。
叫ぶ系の曲はストレス発散になってスカッとしますが、聞き手が耳を塞いでしまうような声になってしまったら、せっかくのカラオケも台無しです。
もし地声で歌いきれないなら、「ちょっと高くて声が出ないから…。」とキーを下げて、無理せず歌いきりましょう。
DAMの採点機能は性能が良すぎる
「こぶし」判定の基準は、カラオケの採点システムにもよります。
「こぶし」の判定基準が厳しいものもあれば、逆に他の「しゃくり」「ビブラート」の判定基準がゆるい採点システムもあります。
特にDAMの「精密採点DX(DX-G)」では、一瞬でも声が裏返ったときに「こぶし」と誤判定しやすいです。
私が友人とカラオケに行くとき、こだわりが強い友人は必ずDAMを選んでいます。音の性能がいいことと、映像のレパートリーが多くて楽しみやすいのです。
DAMはカラオケ機種の最大手です。しかし性能が高すぎるあまり、歌い方の悪いクセまで高評価を付けてしまうのですね。
音程を安定させるなら腹式呼吸とロングトーン
音程がブレたり声が裏返ってしまう場合は、歌声を安定させるよう練習しましょう。「腹式呼吸」と「ロングトーン発声」が効果的です。
まずは正しい音程で歌い、裏返りやすい場所では音程がブレないようにめいっぱい声を出します。
「腹式呼吸」を意識して、息を吸うときはお腹に息をためて、吐き出します。お腹から声を出すことで、声量だけでなく音程も安定します。
「ロングトーン発声」は、一定の音程を「あーーーーーーー」と長めに伸ばして発声します。このとき、音程のブレと声量のキープに気を付けます。
もし声が長く続かないなら、最初の方で息を吐きすぎています。先に腹式呼吸で息をたっぷり吸っておいてゆっくり少しづつ吐くと、息切れしにくいです。
声を震わせず、長く発声できるようになったら、今度は発声しながら音程を変えてみます。ドレミの順にやっていき、自分が出せない音域まで達したら、次は下げていきます。
私が好きな映画「天使にラブソングを…」には、聖歌隊の中に声が高くてきれいなのに、声量が小さい人がいました。
その人に対して、主人公が「声がキレイなのにもったいない。」「おなかから声を出して!」と指導したところ、大きな声が出せるようになりました。
そして声量が大きいままでロングトーン発声もこなせるようになり、ラストシーンでは、高音で難しそうなソプラノのソロパートをキレイな歌声で熱唱していました。
腹式呼吸とロングトーンは発声練習の基本です。音程が安定するだけでなく、歌も格段に上達します。
地声から裏声に変わるところはミックスボイスを使う
人の声には「地声」と「裏声」があります。通常の低い音は地声でも出せますが、だんだん音が高くなると地声では出せなくなり、裏声に切り替わります。
地声から裏声に切り替わるところ(換声点)のあたりでこぶし判定がよく出ているなら、地声と裏声の切り替えに苦戦しているのですね。
この換声点で音程をブレさせないコツは、地声のままで出せる範囲の高い声をキレイに歌うことです。
地声で出せる声量はそのままに、高い音を伸びやかに出します。これを「ミックスボイス(ヘッドボイス)」といいます。
ミックスボイスのコツは、のどの奥を開き、鼻の奥に声を響かせる(鼻腔共鳴)とうまくいきます。
難しければ、口を閉じたまま声を出す「ハミング」を行い、鼻の奥に声が響いていくイメージをつかみましょう。
私が中学生のころ、音楽の先生からは「声をおでこから出す気持ちで、発声しましょう。」と教わりました。
たしかにハミングは口を閉じているため、鼻から声が出ているイメージです。音楽の先生は、「口から声を出すのとは違うんだよ。」と言いたかったのでしょう。
地声の大きな声量、裏声の伸びやかな音、お互いのいいところを取り入れることで、音程のブレがなくなり聞きやすい歌声になるのですね。
また、私が歌うときは、息継ぎをしたタイミングで「ここから声が高くなるぞ。」と心の準備をしています。
おかげさまで、狙っていないところでこぶし判定が出たことはありません。
カラオケのこぶしとは一瞬声が震えたときのこと
本来、歌の技法「こぶし」とは、音を一瞬で震わせるテクニックです。漢字では「小節」と表記し、カラオケのDAMだと、あの青い楕円形のマークがお馴染みです。
カラオケでは、音が一瞬震えたときに「こぶしだ!」と認識して「こぶし」判定を出します。声の振るわせ方は、だいたい3種類に分けられます
- 同じ音程で、一瞬だけ音を高くする方法
「ドーーー」が「ドレドー」になる
演歌によく使われる - 音程が下がるときに一瞬だけ音を高くする方法
「ドーシーラー」が「ドレシドラ」になる
Jpopでよく使われる - 裏声に一瞬ひっくり返して、元に戻す方法
Jpopでよく使われる
こぶしは、演歌だけではなくjpopでも取り入れられています。
「同じ音程」の場合は演歌に、「音程が下がるとき」「裏声に一瞬ひっくり返す」の方法は、Jpopによく使われます。
一般的な歌手がこぶしを入れる回数は、だいたい5回くらいです。歌の1番や2番では、2回ずつくらいでいいのです。
カラオケでも、アピールしたいところやサビのあたりなど、強調したいところにこぶしを入れることで、歌に力強さが出ます。
しかし、1曲内に何回もこぶしを入れてたくさん強調していると、聞き手からすると「強調したいところがたくさんあるのかな…。」と、少しくどく聞こえてしまいます。
ちなみに、「ドレドー」の「レ」が一瞬ではなくハッキリ発音されていると、『「ドレ」の部分を間違えている』『ちょっと遅れて「ドー」を発声している』と判定されます。
そのため、こぶしの練習をするときも、最初はゆっくり音程を上下させて、徐々に歌のスピードに戻して声を震わせる一瞬レベルにまで短くしていくのです。
また、R&B音楽で「こぶし」といえば、その音をより目立たせるために入れる「フェイク」とも呼ばれています。
そして琉球音楽では「グィン」とも呼ばれ、その歌い手さんが出せる地声よりも高い音を一瞬だけ入れます。
カラオケでこぶしとしゃくりは別もの!
カラオケの採点基準には、「こぶし」とよく似た「しゃくり」もあります。しゃくりも、こぶしと同様にクセが入りやすいです。
しゃくりとは、下の音階からスムーズに上がるよう発声することです。
なめらかな歌声になり歌に深みが増すため、しゃくりを入れることで感情をこめやすくなるのです。
こぶしは1曲あたり5回くらい入れば力強さが十分に伝わりますが、しゃくりの場合はたくさん入ってもカラオケが下手には聞こえにくいです。
実際にしゃくりが多用されている曲もあります。
ただし、あまり多すぎるとわざとらしく聞こえますし、喉にも負担がかかります。
私はどちらかというとしゃくりのクセが強いため、カラオケの翌日は喉がガラガラになります(笑)
しゃくりも無意識に出てしまうなら、こぶしと同様に音程をきちんと合わせて、腹式呼吸やロングトーンを練習しましょう。
まとめ
- カラオケで「こぶし」判定が多いと、高得点が出たとしても、一瞬だけ声が裏返り、音程がブレていれば聞き手からは下手に聞こえる
- 声の裏返りが起こるときは、特に叫ぶような歌い方をしているときや、低い音程から高い音程に変わるときが多い
- DAMの「精密採点DX」は性能が良すぎるがあまり、一瞬だけ声が裏返ると「こぶし」と誤判定しやすい
- 腹式呼吸でお腹から声を出し、ロングトーンで声量を一定に保つと、音程がブレにくくなる
- 地声から裏声に変わる音階「換声点」では、お腹から声を出しつつ、声をキレイに伸ばす「ミックスボイス」を取り入れると声が裏返りにくい
- 本来「こぶし」とは一瞬だけ声を震わせることで、大きく分けて3パターンある
- 同じ声の震わせ方でも、音程が下がるときは「こぶし」、音程が上がる時は「しゃくり」という
カラオケは採点が高ければ高いほど、自信にもつながります。しかし、聞き手に不快感を与えてしまうようなクセが多いなら、直したほうがいいですね。
私は、歌うときに一番大事なのは、「独りよがりにならない」「聞き手側のことを思いやれているか」だと思います。そもそも、歌は誰かに聞いてもらうためのものだからです。
今あなたが「採点は高いのに、下手に聞こえているかもしれない。」と悩んでいるということは、独りよがりにならず聞き手のことを意識できている証拠でもあります。
歌唱力や歌詞の表現力も大事ですが、カラオケ採点に頼らず歌声を客観視してみると、苦手なところを見つけてカラオケ下手を克服できますよ。
また、こぶしの大量発生が解決できたら、今度はビブラートの練習もしてみましょう♪詳しくはこちらに書いてあります。
カラオケでビブラートが多いけど高得点が取れない!攻略のコツを解説!
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