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測定系に50hzのノイズが乗る原因は商用電源!侵入経路と対策を解説

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測定系の出力信号に50hzのノイズが乗ってしまって正確な測定ができない。原因はなんだろう?

電圧・電流・温度・湿度など、さまざまなデータの測定・収集にはDAQボードのようなデータ収集システムが欠かせません。

ですが、測定時にシステムがノイズをキャッチしてしまうと、正確な測定ができません。

正確な測定ができないと、そのデータを元にしての判断や予測もできなくなってしまいますよね。

ノイズが発生する原因はいろいろありますが、50hzのノイズが乗る場合、その発生源は商用電源である可能性が高いです。

この記事では、その50hzノイズの侵入経路と、侵入経路ごとの対策を解説していきます。

50hzノイズが乗ってしまう原因を知って、正しい対策を講じることで、正確なデータ収集ができるようになりますね♪

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50hzのノイズが乗る原因は商用電源の可能性が高い

商用電源とは、電力会社から電力消費者に届けられる電力のことで、日本で供給されている商用電源は交流です。

日本の商用電源周波数は、関東では50hz、関西では60hzの2種類に分かれています。

測定系に乗るノイズが常に50hzの場合、その原因は、周辺機器が発している商用電源ノイズの可能性が高いです。

50hzや60hzのノイズが乗ると、スイッチング電源やアダプターからのノイズと思いがちですが、測定系は通常、直流化された電源で作動しています。

50hzの交流電流が、ACアダプターなどの全波整流回路を通り直流になると、2倍の出力周波数である100hzになります。

そのため、測定系がアダプターやスイッチング電源からのノイズを受けるとすれば、100hzのノイズが乗ると思われます。

ですから、50hzのノイズが乗るということは、原因はアダプターやスイッチング電源ではなく、周辺機器が発している商用電源ノイズの可能性が高いといえます。

50hzノイズを発している機器を特定しよう

ノイズ対策にはさまざまな方法がありますが、ノイズの発生源や侵入経路に合わせた対策をとらなければ、効果が得られません。

せっかく対策を施しても、効果がなかったらがっかりしてしまいますし、「どうしたらいいんだ〜!」と迷走してしまいますよね。

そのようなことを防ぐために、まずは、ノイズの発生源となる機器を特定してみましょう。

測定系に乗るノイズが50hzである場合、商用電源のノイズを出している別の機器や装置が近くにあると考えられます。

そこで、測定系の近くにある電気機器の電源を全てOFFにします。

それから、ひとつずつ電源を入れて、どの機器が動いている時にノイズが乗るかを調べます。

ノイズが乗った時に稼働している電気機器が、ノイズの発生源ということです。

測定系を使う際、常にノイズ発生源となる電気機器の電源を切れるのであれば、これで問題解決です!

ノイズの侵入経路は2つ!配線か空間かを突き止めよう

発生源の電源を切れない、または発生源が特定できなかった場合は、2つの方法で侵入経路を特定しましょう。

ひとつは、測定系をノイズ源となっている可能性のある電気機器から隔離して動作させる方法で、もうひとつは測定系を他の電気機器とは別の、単独の電源で動作させる方法です。

それぞれがどのような侵入経路を特定できるのかを、ご説明します。

ノイズ源からの隔離
  • 近くにある他の電気機器が原因で発生したノイズが電磁波などとして空中から侵入する「空間伝導」を特定できる
  • 測定系を周囲の電気機器から離した状態で動作させるとノイズが乗らなくなる
単独の電源を使用
  • 同じ電源に接続している他の電気機器が原因で発生したノイズが、測定装置の配線を通って侵入する「導体伝導」を特定できる
  • 乾電池やバッテリーなど、測定系を単独の電源で動作させるとノイズが乗らなくなる

ノイズの侵入経路は大きく分けて「空間伝導」と「導体伝導」の2つがあります。

ものすごぉ~く簡単に言うと、配線から侵入するか、空中から侵入するか、ということですね!

そして、配線から侵入している場合は、測定系の電源を単独にする。または、他の機器の電源を全て消す。

空間から侵入している場合は、測定系を他の電気機器から離し、別の場所に置く。

こうすることでノイズが乗らなくなる可能性が高いです。

ただし、導体伝導と空間伝導は、電気機器の配線がアンテナとなって、「導体→空間」や「空間→導体」と変換される可能性もあります。

そのため、ある時は導体伝導が侵入経路であったとしても、空間伝導はまったく気にしないでよいということにはなりません。

それに、測定系と他の機器をつないで使用する、長時間・長期間の測定をする、といった場合は単独の電源にすることが難しいこともありますよね。

同じ理由で、測定系を別の場所に移動することができないことも考えられます。

ですから、ノイズが発生する原因となっている機器と侵入経路を特定し、それへの対策を講じた上で、他の侵入経路も考慮したノイズ対策が必要となります。

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50hzのノイズ対策3選!侵入経路に合わせて考えよう

「50hzノイズの侵入経路は特定できたけど、この2つの対策をずっとはできないな。」または、「両方の侵入経路が考えらえるな。」

上記のような場合は、「機器のシールド」「接続電線をシールド線に変更」「接地(アース)点の変更」のいずれかを行いましょう。

といわれても、それぞれがどんな対策なのか、ピンときませんよね。というか、私自身がまったく「?」でした(汗)

そこで、それぞれがどのような対策なのかをわかりやすくご説明します。

「?」だった私でも理解できた説明ですので、あなたならすぐに理解できますよ(笑)

機器のシールド
  • 空間伝導によるノイズを遮断するため、測定器をノイズの侵入を防ぐ効果のあるケースなどで覆(おお)う
  • シールドケース、シールド対策ケース、シールドボックスなどと呼ばれているものがある

シールドは金属などの良導体で作られています。

機器そのものがノイズを受けることは防げますが、電源や他の機器につないでいる、配線も空間から遮断しなければ、完全に防ぐことはできません。

接続電線をシールド線に変更
  • 空間伝導によるノイズを遮断するため、配線をシールドする
  • 配線をシールドチューブなどで覆うか、シールドされた配線に変える
  • シールドされたツイストペアケーブルは高い効果を得られることが多い

機器と配線の両方をシールドすることで、空中からのノイズ侵入を防ぐことができます。

ツイストペアケーブルは2本の信号線をねじる(ツイストする)ことで、ねじれごとに起電力の向きが逆になります。

そのため、起電力がノイズを打ち消しあうようになり、ノイズの影響を低減できます。

ツイストペアケーブルは導体伝導に対しても有効です。

接地(アース)点の変更
  • 測定系と、測定系に接続している機器全ての電源を、アース端子付きの電源タップを用いて、同一の電源に接続する
  • ノイズ発生源となっている機器をアースにつなぐ

測定装置を他の装置やコンピュータなどに接続する場合、電位差が原因でのノイズを防ぐために、そのすべてを同じグランド端子に接続する必要があります。

グランドとは、電位の基準を決めている回路のことで、電気をスムーズに流すために必要な仕組みです。

電位とは、ひとことで言えば電気の高さです。電気は水のように、電位の高い方から低い方へと流れていきます。

 
 

接続機器を同一のアースにつなぐことで、そこが最も低い電位となり、電気がスムーズに流れるようになります。

電位を安定させることは、導体伝導に対して有効です。

また、ノイズを発している機器をアースにつなぐことにより、ノイズが外へ流れやすくなり、測定系がノイズを受けにくくなります。

これは、導体伝導・空間伝導両方に対して有効です。

導体伝導・空間伝導と、両方のノイズ対策を行えば、50hzノイズが乗るのを防ぐ効果が高まりますね♪

それにしても、50hzノイズの侵入を防ぐって、簡単ではないんですね(汗)

だからこそ、電子機器には、EMS規格(イミュニティ規格)や EMC規格(ノイズ規格)といったノイズに関する規格が定めれているのですね。

多くの電子機器には製造段階でノイズ対策がほどこされているにもかかわらず、それでもノイズが発生してしまうのは、デジタル社会という便利さの代償なのかもしれません。

測定系がノイズの影響を受けると、正確なデータ収集ができなくなってしまいますよね。

空間伝導によるノイズの侵入を防ぐには、機器と配線の両方をシールドする必要があります。

ノイズシールド編組スリーブを使えば、今使っているケーブルをそのままシールドできますよ。

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50hz以外にもノイズが発生するしくみと対策を解説

はじめにお伝えした通り、ノイズは常に50hzや60hzとは限りません。

50hzや60hzのノイズは商用電源からの可能性が大きいですが、私たちの周りにはさまざまな電子機器があり、それらが放射する電流は全てノイズ発生の原因になります。

代表的なノイズ源として、「信号」「電源」「サージ」の3種類があります。

「信号」がノイズ源になる理由
  • 電子機器が、情報を伝えるために信号を発するには電気が必要であり、その信号が周囲に電波を放射し、放射された電波がノイズの原因になる
  • 多くの「情報=信号」を発するほど電流の周波数は高くなり、強い電波を放射しやすくなる。

電子機器の性能が向上し、扱う情報量が増えるほど、放射される電波が強くなり、ノイズが発生しやすくります。

「信号」が原因のノイズを防ぐには、先ほどお伝えしたシールドやグランド接地が有効です。

「電源」がノイズ源になる理由
  • 電気回路を動作させるため、大量の高周波電流が流れている場合がある
  • 回路に共通の電源にノイズが流れると、回路全体に影響を与えてしまう
  • 各機器のエネルギーの源であるため、ノイズのエネルギーも大きくなる

電源は本来、直流や交流の電気だけを提供する回路であるため、ノイズの発生源にはなりにくいのですが、上記のような理由でノイズの伝達経路になることがあります。

例えば、電子機器をスイッチで断続するとき(特に切るとき)に高電圧のノイズが発生して、周囲の電子機器を誤作動させたり、回路を故障させたりすることがあります。

電源がノイズ源になるのを防ぐには、絶縁タイプのコンセントや、電源ノイズフィルタを内蔵したコンセントタップを使用するなどの対策が考えられます。

「サージ」がノイズ源になる理由
  • 人体や機器の持つわずかな静電気が、電子機器や周囲の物体に放電されたときにノイズが発生する「静電気サージ」
  • スイッチの断続によって電流が急変する際、回路に一過性の高電圧が誘導される「開閉サージ」
  • 電子機器の付近で落雷があった時、通信線や電源線などの比較的長い配線に高い電圧が流れる「雷サージ」

静電気の放電や、スイッチの断続による、意図しない電圧や電流を「サージ」と呼びます。

雷は、電子機器に直撃しなくても、電源線やアンテナ線からサージが入り、非常に大きなノイズとなって電子機器の誤作動や故障を引き起こします。

サージによるノイズ対策としては、サージ吸収部品を使う、機器を絶縁体で覆うか、反対にシールドする、などがあります。

そのほか、「EMIフィルタ」や「フェライトコア」といった、電源やサージなど導体伝導による高周波ノイズの侵入を防ぐ製品もあります。

ノイズ対策といっても、ノイズが発生するしくみによって、対策も違ってきます。

50hzノイズもそれ以外のノイズも、発生源を調べ、それに合わせた適切な対策をとることで、効率の良いノイズ対策が行えますね♪

まとめ

  • 測定系に50hzのノイズが乗る原因は商用電源の可能性が高い
  • 50hzノイズの侵入経路は導体伝導と空間伝導の2つがある
  • 導体伝導は、測定機器の電源を単独にすることでノイズの侵入を防げる
  • 空間伝導は、測定機器をノイズ発生源から離すことで侵入を防げる
  • 50hzのノイズが乗ってしまう場合の対策は「機器のシールド」「シールド線の変更」「接地点の変更」の3つ
  • ノイズは配線をアンテナとして「導体→空間」や「空間→導体」に変換されることもあるため、両方の対策をとるべきである
  • 代表的なノイズ発生の原因として「信号」「電源」「サージ」の3つがある
  • 電源はノイズの発生源にはなりにくいが伝達経路になることがある
  • 意図しない電流や電圧を「サージ」といい静電気や雷、スイッチの切り替え時にノイズとなりやすい

私は、ノイズといえば、ラジオの雑音やテレビ画像の乱れくらいだと思っていました。

ですが、測定系がノイズの影響を受けると、正しいデータ収集ができず、研究や観察において大きな障害になると知り、とても驚きました。

それに、計測器や検査機器がノイズの影響で誤作動したり故障したりすると、大きな事故につながることもあるのですね。

ノイズが発生する原因を調べ、有効なノイズ対策を行うことで、機器の安全管理にお役立てください。

全ての電子機器はノイズを放射することもあれば、受けることもありますね。

機器や配線をシールドすることは、その両方を防ぐのに役立ちます。

ノイズシールド編組スリーブを使えば、今使っているケーブルをそのままシールドすることができますよ。

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