ジーンズは、全世代から愛されるボトムスです。
しかし、私が実家でジーンズのことを「デニム」と呼んでいたら、弟から「デニムって生地じゃん。ジーンズだよ。」とツッコまれました。
弟の言うとおりだなと思っていたら、今度は母が「何の話?ジーパンのこと?」と呼び方を訂正していました。
母の世代はジーパン、私の世代はデニム、弟はジーンズ…なんと同じものなのに家族の間でも呼び方が違うのです。
ところが、同世代の友人にその話をしたら「え~ジーパンでしょ!」と言われました。どうやら、この呼び方の違いは世代関係ないようです。
あまりにも不思議な出来事で気になったので、今回は、「ジーンズ」「ジーパン」「デニム」の呼び方について調べてみました。
ジーンズ、ジーパン、デニムの呼び方は世代で変わらない

この間、友だちから「ジーンズって古いよ、今はデニムって呼ぶの。」って言われたの。
「ジーパン」ならまだしも、「ジーンズ」まで古いなんて…。
デニム生地のパンツは、だいたい「ジーンズ」で通用します。
しかし、年配世代は「ジーパン」呼び、若い世代は「デニム」呼びでも通じます。はたまた「ジーンズ呼びは古い。」と感じる人もいます。
しかし、この3つは年代で呼び名が変わるわけではないようです。
ファッション雑誌の調査で「デニム生地のパンツを何て呼んでいますか?」と調査したところ、一番多く呼ばれているのは「ジーパン」でした。
ただ、年代別で調査した結果はないのです。ということは、どの年代も結果は平均くらいだったんじゃないかなと思うのです。

「ジーパン」って呼ぶ人はおじさん世代だけって思っていたけど、若い世代の子も日常的に使っているよ。
「ジーパンに穴が開いた!」とか。

世代問わず、古着が好きな人は「デニム」呼びしているね。
逆に「ジーパン」呼びしている人は、ファッションに興味がないんじゃないかな。
このように、親世代の影響で若者が「ジーパン」と呼ぶこともあれば、ファッションに興味がある人ほど「デニム」呼びをすることもあるのですね。
デニムと呼ぶことでおしゃれさを取り込みたかった

YouTubeやSNSでよく「デニム」って呼んでるけど、なんだか気取っているように聞こえる。
少し耳は痛いですが、おっしゃるとおりです。「デニム」と呼び始めた理由は、ジーンズのダサいイメージを払しょくさせるためです。
ジーンズが日本に登場したのは1960年ごろで、80年~90年代ごろにはブームが広まりました。このころはまだ「ジーンズ」の名前で通っていました。
人気に火がつくと、街中では子どもから大人、そしておじさん世代までジーンズ姿を見かけます。
しかし、おじさんも履いているようなジーンズを、若者世代が受け入れられなくなったのです。あまりにも大衆化しすぎて、ジーンズそのものがおしゃれっぽくなくなってしまったのです。
そこで、ジーンズにおしゃれさを取り込みたい人たちが、2000年ごろから「デニム」呼びを始めました。
ちょうどこのころ、芸能人も「デニム呼び」をし始めています。その一人が、浜崎あゆみです。
彼女は、「ベストジーニスト賞」を何度も受賞していて、当時は女性のカリスマ的存在でした。女性への影響力はすさまじかったのですね。
若者世代にもジーンズが浸透していった結果、ジーンズは世代関係なく愛されるようになりました。
ただその名残として、本来は「ジーンズ」と呼ぶべきなのに、呼び名が3つも残ってしまったのですね。
おしゃれさんはデニムパンツと呼ぶ

「デニム」ってそもそも生地の名前でしょ。
それを「ジーンズ」の代わりとして呼ぶのは間違っているよ。
上の方がおっしゃっている通りで、そもそも「デニム」は「デニム生地」からきています。そのため、パンツ類だけでなくスカートやジャケットもデニムなんですよね。
YouTubeやSNS、若い世代は「デニム」と省略しますが、アパレルショップに行くと「デニムパンツ」という店員さんが増えました。
また、デニムパンツが細ければ「スキニー」、太ければ「ワイドパンツ」「バギーパンツ」など、形に合わせて呼び名を変えています。
やはりショップ店員さんは、お客さんから「デニムは生地の名前だよ!」とツッコまれないよう、時代に合わせて、正確な名前を言ってくれるんですね。
ちなみに、「アメカジ系ならデニム」「すらっときれいな印象ならジーンズ」「大衆向けならジーパン」のように、イメージごとで呼び名を変える人もいます。
ジーンズとジーパンの違いは英単語と和製英語

デニムが時代とともに呼ばれ始めたのはわかった。
じゃあジーンズとジーパンは、名称に何の違いがあるの?
ジーンズは立派な英単語ですが、ジーパンは和製英語で「ジーンズ+パンツ」を意味しています。そのため、外国人に「ジーパン」と言っても通用しません。
また、ジーパンがどうして和製英語になったのか、その由来も諸説あります。その一部を公開しますね。
- 「ジーンズ生地のパンツ」を略した
- もともとアメリカ軍人が履いていたパンツで、俗称「G.I.」の頭文字から取って「Gパン」と呼び始めた
- 日本人にジーンズを広めるとき、「jean(ジーン生地)のパンツ」から「Jパン」と名付けようとしたが、元々の発音と近い「Gパン」を代用し、今に至った
「ジーンズ生地のパンツ」はわかりやすいですが、「Jパン」と説明しようとした説は少し驚きました。
もし「Jパン」を「Gパン」に直してくれたのなら、アルファベット読みに慣れている外国人が、カナ読みに慣れている日本人へ配慮してくれたのですね。
ちなみに、私は「ジーパン」の由来が古いテレビドラマからきていると思っていました。母世代のドラマでは、「ジーパン刑事(デカ)」という人物がいたような…(笑)
ジーンズの由来はイタリアの都市ジェノバからきている
「ジーンズ」の由来ですが、ハッキリとした文献残っていなくて明確な由来がわかっていません。ただ、どの説でもイタリアの都市ジェノバが関係しています。
調べてみるとけっこうおもしろかったので、小話として目を通していただけると嬉しいです。
一説によると、「ジーンズ」は、もともと「ジーン(jean)」という織物から作られた服とのことです。
この織物は、貿易が盛んだった都市ジェノバからアメリカへ入ってきました。
この地方から出回った丈夫な織物が、最初は地方名を取って「ジェイノーズ(genoese=ジェノバ物)」という呼び名で重宝され始めます。
その後「ジーン」に省略されて名前が落ち着いてからは、この織物を使ったズボンやシャツ、テント類を複数形で「ジーンズ」と呼ばれました。
また一説によると、都市ジェノバからやってきたパンツのことを、アメリカ人が「ジェノワーズ(genois=ジェノバ人)」「ジェンズ(genes=ジェノバ製)」と呼んでいたそうです。
この呼び名も「ジェノバ製」という意味で、それがやがて「ジーンズ」という呼び方に変わったといわれています。
都市ジェノバは、のちにアメリカ大陸を発見した探検家、コロンブスの出身地でもあります。アメリカとはご縁がある都市ですね。

あれ、生地の名前「デニム」はどこから来たの?
「デ」の字もないけど。
実はその後、一足遅れてフランス南部のニーム地方から「デニム(当時はセルジ・ド・ニーム=ニームの絹織物)」がアメリカへ伝わりました。
しかしすでにアメリカでは、似たような織物で作られた衣類「ジーンズ」という名前が定着していました。
次第に織物の名前は「デニム」に置き換わりましたが、衣類の名前は「ジーンズ」のまま定着し、現在に至るのです。
織物自体はそっくりですが、ジェノバ産のジーンは布を織った後で藍色1色で染めているのに対し、ニーム産のデニムは経糸と緯糸を使い分けて織っています。
当時はまったくの別ものでしたが、現在出回っているジーンズはほとんどニーム産のデニムと同じ製法です。
しかしジェノバ産のジーンがなくなったわけではありません。今でもこの製法を守り続けているブランドもあります。
まとめ
- ジーンズは時折「ジーパン」や「デニム」と呼ぶ人もいるが、人それぞれの好みや価値観によるため世代はあまり関係ない
- 「デニム」呼びのきっかけは、ジーンズがあまりにも大衆化しすぎておしゃれっぽさが激減してしまったため
- そもそも「デニム」は生地の種類なため、徐々に「デニムパンツ」呼びへ切り替わっている
- 「ジーンズ」は外国でも通じる英単語に対して、「ジーパン」は和製英語で日本しか通用しない
- 「ジーパン」の由来は諸説あるが、だいたい「ジーンズ生地のパンツ」「Gパン」からきている
- 「ジーンズ」の由来も諸説あるが、だいたいイタリアの都市ジェノバが由来になっている
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