大きい布リボンは、ひとつ付けるだけで存在感がありますよね。
和装のヘッドアクセとして身に付ければ華やかになりますし、襟元に付けてもかわいいです。
調べれば、布リボンの作り方は動画などでたくさん出てきます。ただし、大きい布リボンの場合はコツがいります。
小さい布リボンの作り方を参考にして布を大きくすると、完成して身に付けても形崩れしてしまうんですよ。
大きい布リボンの場合、形崩れを防ぐためにはハードチュールやキルト芯を入れてハリ感を出します。
今回は、詳しい作り方や、下リボンのたれに個性を出すための作り方も解説します。
大きい布リボンの作り方には中にアレを仕込む
小さいリボンは形をある程度ハリ感が保てます。
ただし布は柔らかいため、布が大きければ大きいほどハリ感が保てず、くたっとしてしまいます。
大きい布リボンにハリ感を出すためには、布を折り込むときにハードチュール(30~50デニール)やキルト芯を入れます。
「チュール」とは、細かいネットが編み目のように織り込まれたレース生地の一種です。
チュール生地は、一番柔らかい「ソフトチュール」の10デニールをはじめ、番号が大きくなるにつれて硬くなります。
今回は厚手でハリがある「ハードチュール」の中でも、30~50デニールくらいの厚みの生地を使います。
チュールの中でも一番硬いのは70デニールです。しかし、硬すぎるがゆえに肌に触れるとチクチクして痛いのが難点です。
あまり硬いチュールを入れると、自然なハリ感を通り越して、ノリ付けしたかのようなバリバリ感が出てしまいます。
そのため、布リボンに入れてハリ感を出すよりも、チュチュやパニエなどの衣装に使う方が向いています。
私の友人も、ロリータファッションでもスカートをふんわりさせるためにパニエを履いていました。
「70デニールで一番硬いからふんわりしてるし、裏生地に綿生地が入っているから肌に当たっても痛くない!」とご満悦でした。
そのため、布リボンのような小物に使うなら、30~50デニールで自然なハリ感が出せるのです。
また、キルト芯でも代用できます。これは布の中に入れる中綿のことで、布に厚みやボリュームを出すために使います。
厚みが少ないキルト芯ならふわふわしすぎず、リボンの布がへたれにくくなります。
ハードチュール、キルト芯、どちらもリボンの内側から布を支えてくれるため、形崩れしにくくなるのです。
中に入れたら中央を縫ってズレを防ぐ
ハードチュールやキルト芯をただ中に入れただけでは、リボンの内部で中身が動いてしまいます。
それを避けるためにも、ハードチュールやキルト芯を中に入れたらリボンの真ん中部分を縫っておきます。
真ん中はリボンの結び目パーツが来るところなので、完成したときに縫い目がうまく隠れます。
それに、真ん中を蛇腹織りして縫い合わせるときの目印にもなるため、まっすぐ縫い合わせることもできるのです。
布やハードチュールを裁断するときのサイズ
大きいリボンや中に入れるハードチュールを裁断するときは、作りたいリボンのサイズに合わせます。
上リボン(あれば下リボン)、真ん中の結び目パーツの型紙を作り、合わせて布とハードチュールを裁断します。
布の強度が心配なら、アイロンで接着芯をつけて補強しましょう。
今回は中表(表が内側になる)に二つ折りして縫う方法と合わせています。
- 型紙の作り方
作りたいリボンの大きさで型紙を作る
結び目パーツは、8cm×3~4cmで型紙を作る
型紙の上辺には「輪」のしるしをつける - 布の裁断
横…型紙の横+縫い代分2cm
縦…型紙の縦×2+縫い代分2cm
中表に二つ折りしておく - ハードチュールの裁断(リボン部分のみ)
型紙よりも5mmくらい小さく裁断する
上リボンと下リボンを作るなら、2枚用意する
中表にして縫う時、折り目のわっか部分は縫いません。
そのため型紙の上辺に「輪」のしるしをつけて布の向きを明確にしておくと、縫い間違いを防げるのです。
またリボンの結び目パーツですが、リボンを巻くためにも8cmくらいの長さが必要です。
そしてリボン本体、結び目パーツのどちらも表裏が必要です。そのため、布を裁断するときには型紙の2倍分を準備します。
例えば、横20cm×縦15cmのリボンを作る場合、布を開いた状態で以下のような長さに裁断します。
- リボン本体
横…【20cm+縫い代分2cm=22cm】
縦…【15cm×2+縫い代分2cm=32cm】 - リボンの結び目パーツ(縦3cmにする場合)
横…【8cm+縫い代分2cm=10cm】
縦…【3cm×2+縫い代分2cm=8cm】 - ハードチュール
横…【20cm‐0.5cm=19.5cm】
縦…【15cm‐0.5cm=14.5cm】
あくまでこの計算式は目安です。計算が苦手なら、実際に型紙を作って布と合わせながら裁断するとうまくいきますよ。
ちなみに下リボンも作るなら、上リボンとは大きさを変えます。横や縦どちらかを長めにすると、動きがつきますよ。
大きい布リボンの作り方を紹介
それでは、実際に大きい布リボンを作っていきましょう。今回は二つ折りにして縫う方法で説明します。
まずは、リボン本体の布にハードチュールを入れます。
- 輪になっていない方から、縫い代1cm分を折ってアイロンをかける
反対側も同様に折り、アイロンをかける - 両サイドの縫い代1cm部分を縫い、輪の部分と縫ったところの角を少し切り落とす
- 縫っていないところから表へ返して、2で縫った部分が浮いていればアイロンをかける
- ハードチュールを中に入れる
- 1でアイロンをかけていた部分を縫い閉じる
ハードチュールをミシンで縫いこんでもOK - 下リボンがあるときも同様に、真ん中のパーツはハードチュールを入れずに同じようにして縫う
両サイドを縫った後で角を少し切り落としておくと、表に返したとき角がたわみにくくなります。
開いている部分を縫い閉じるとき、中に入ったハードチュールも一緒に縫いこんでも大丈夫です。
この方法以外にも、ティッシュケースのように両側を折って縫う方法もあります。
返し口を10cmくらい残して、その両側を縫っておきます。ハードチュールを入れたら、返し口を手縫いで縫い閉じます。
ただし完成したときには開き口が裏側に来るため、裏が気にならなければ縫い閉じなくても大丈夫です。
リボン本体にハードチュールを入れたら、ここからは手縫いで仕上げていきます。
- リボン本体の真ん中に縦線を入れて、チャコペンなどでしるしをつける
- 縫い針に糸を通して、二本取りで波縫いする
- 糸を引っ張り、シワになった部分に糸を2回くらい巻き付ける
- リボンのしわ部分(どこでもいい)に一度針を通して、玉結びする
- (下リボンがある場合、上リボンと重ねて縫い合わせる)
- 真ん中の結び目パーツをあわせて、縫う
縫い目が裏にくるように合わせる
チャコペンなどで縦線を入れた部分は、リボンの中心となるため結び目パーツで隠れます。
波縫いのところは結び目部分を蛇腹織りして縫ってもいいのですが、布がたくさん重なると針が通りにくくなります。
波縫いをするときは、生地を台に置いた状態で針を縫い進めていくと、余計な力がいりませんよ。
上リボンと下リボンを縫い合わせるときは、布が重なるため針が通りにくく力がかかります。ここが踏ん張りどころです。
そして最後に結び目パーツを縫うときは、リボンの裏地をすくい上げながら縫います。
コツは、結び目パーツの両端を縫い合わせる間にリボンの裏地にも針を通します。
リボンの裏地にも針を通すことで、完成時には結び目がクルクル回らず固定されるのです。
リボンの大きさってどのくらいがいいの?
リボンの大きさに上限はありません。ただし、サイズ感はイメージするだけでは分かりにくいものです。
横幅20cmくらいだと、顔の幅や後ろ頭と同じくらいの幅です。
そのため、後ろ頭にバレッタとしてつけたとき、また襟元に付けたとき、かなり目立ちます。
普段のお洋服やドレスに合わせるとかなり目立つ雰囲気ですが、浴衣や和服を着たときなら華やかさが生まれます。
私も昔、アクセサリーショップで大きいリボンが付いたバレッタに一目ぼれして、衝動買いしたことがあります。
しかし実際にヘッドアクセとして付けてみると、リボンが目立ちすぎて似合わず、結局数回しか着用しませんでした。
そのころの私は普段のお洋服にもかなりこだわっていたため、全体的にコテコテしすぎたのかもしれません。
しかし近年ではコスプレ用に自分で服を製作する人も増えてきています。
浴衣のような落ち着いた和服や、全体的にテイストを統一して服と着こなしていれば、きっと私にも似合っていました。
手作りのコスプレ服でも、大きなリボンにこだわって作り込めば、完成度の高いドレスが出来上がりますよ♪
たれ付き布リボンの作り方
下リボンの部分は「たれ」ともいいます。この「たれ」の形を変えるだけで、個性が生まれます。
一番簡単なのは、「斜めたれ」です。その他にも「カーブ」「切込み」などのたれも作れます。
ここからは、斜めたれを含めた、大きめ布リボンの作り方を紹介します。垂れ部分をカーブにする場合も同様です。
縦横だいたい20cmくらいの布リボンを作っていきます。布の面積は、縫い代を含めてこのくらいを準備します。
- リボン本体…17×80cm
- 結び目パーツ…9×9cm
大きめの一枚布を結んだように作るため、ハードチュールは不要です。斜めたれ部分を切ってから縫います。
- 「輪」部分の両端4cmくらいから布の切れ端に向けて、斜めにカットする
- 中央10cmくらいに返し口を残して、布端をすべて縫う
- 角を切り落とした後、返し口から表へ返して、縫い閉じる
- 中心からおよそ9cmくらいで両側を折り返す
両側が交差する形になる - 中心部分を蛇腹織りにして、縫う
今回は下リボンをちょっと長めにするので、斜めに切ってシャープさを出します。
「輪」の辺を両端4cm切るため、この辺は8cm短くなります。
返し口を縫い閉じた後は、両側を折り返してリボンの形を作ります。このとき、両側を交差させてバツの形を作ります。
そのまま中心部分を蛇腹織りにして、中心を縫います。先ほどと同様に布が重なるため、頑張って縫いましょう。
リボン本体の形が整ったら、結び目パーツを作り、布リボンを完成させます。
- 結び目パーツの布を三つ折りにして、仮止めする
このとき、折り込んだ端の布が2cmくらい重ねる - さらに両端を折り畳み、仮止めする
- 結び目パーツをリボン本体に重ねて、後ろで縫う
- 形を整える
結び目パーツをリボン本体に重ねるとき、1回ねじると立体感が出てリアルさが増しますよ。
結び目にもねじりを入れるため、先ほど布を張り合わせて作った布リボンとは違い、本当に結んだようなリアルさが生まれます。
もちろん、最初に紹介したハードチュールを利用した布リボンの作り方でも、工夫すれば個性的なたれも付けられます。
下リボンを作るとき、布の横を長めにして、斜め、または少しカーブを付けて横部分を切ります。
ちなみに、縫い代部分の布が残っていると、表へ返したとき、布が切込みのたれ部分に溜まって膨らんでしまいます。
斜めやカーブでは気になりにくいですが、特に切込みを入れた場合は、表へ返す前に縫い代部分はカットしておきましょう。
縫い目を裏側に持ってくる作り方
完成したとき縫い目が下側にくると、柄が境い目と合わせにくくなります。
柄のズレが気になるなら、縫い目を裏側に移動させる作り方もありますよ。
- 布を中表にして折る
- 輪(折り目)とは反対側部分を縫う
このとき、真ん中に5~10cmくらい返し口を残しておく - 縫い目が中心にくるよう布をずらして、アイロンをかける
(縫い目が表面に、輪の部分が裏面にくる) - 両側を縫って、表に返す
- アイロンをかけて、布全体を整える
布を中表に折るところは同じですが、両側は縫わず「輪」の反対側のみ縫っておきます。
布を筒状にしておき、縫い目を表面に、輪の部分を裏面にずらします。
この作り方なら、縫い目が気にならず、完璧に近い状態の布リボンが仕上がります。
まとめ
- 大きい布リボンを作るときには、中にハードチュールやキルト芯を仕込むと形崩れしにくくなる
- ハードチュールは、30~50デニールくらいの厚みがいい
- 中に入れただけではハードチュールなどがズレるため、中央を縫ってズレを防ぐ
- 布リボンのサイズ感は横20cmくらいだと頭がすっぽり隠れるくらいで、和装やコスプレ衣装に向いている
- 裁断するときには、型紙の2倍分と縫い代分の長さを残しておく
- ハードチュールは、型紙より少し小さめで準備する
- 下リボンのたれ部分に個性を出すなら、縫う前に斜めやカーブにカットする
- たれに切込みを入れるなら、布を筒状に縫ってから両端を切込み状に縫って縫い代部分をカットするとキレイに仕上がる
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